契約外工事をどう防ぐか
前回までに、契約外工事が赤字工事の主要因であることをご説明しました。今回は、その契約外工事をどのようにすれば防げるのかを考えていくことにします。
前にもお話しましたとおり、私どもでは、契約外工事の原価を発注書(注文書)ベースで極力早めに掴み、施主や設計事務所、もしくは元請業者へ早めに交渉することにより赤字を極力防ぐことをお願いしています。しかしそれは契約外工事はそもそも発生するものである、という前提での管理であり、契約外工事を根本的に減少する手立てではありません。ですから、契約外工事を根本的に減少させる施策が必要になってきます。
ここで重要になってくるのは、お客様の視点になります。住宅を購入した方を対象としたある調査から解決策が見えてきます。一番の不満要因は、当初予算金額から後になればなるほど金額が増額になることだそうです。つまり、あとからあとから契約外の項目が出てくることになります。これは、当初きちんと詳細な工事内容について契約を結んでいない、きちんと話ができていないことに起因します。
このことを建設業者の方にお話しますと、「契約時に全てを盛り込むことは無理だ」とか「お客さんの方が途中で変更する」等、できない理由を沢山お話して頂けます。しかしながら、それが自社の赤字の要因であったり、お客様からの不満足要因であるなら、改善策を現場で実行していくことが必要なはずです。
具体的な改善策としては、お客様も違いますし、得意工事も違いますので企業毎に違いますが、ポイントは事前に施主や設計事務所、元請と綿密な打ち合わせを行い、契約をきちんと結ぶことです。その為に必要な企業サイドの能力としては、設計はもちろん、積算能力、お客様とのコミュニケーション能力も必要になります。また、社内的に過去物件のデータベースを構築し発生頻度が高い契約外工事をチェックしていくことも重要になります。
言えば切りがありませんが、重要なことはお客様の視点に立ち、契約外工事が発生するリスクをきちんと説明した上で、最初の打ち合わせ段階で時間を納得いくまでとることだと思われます。先もお話ししました通り、できない理由は沢山ありますが、重要な経営課題として取り組む必要性はご理解頂けたと思います。あとは、経営陣にどの程度優先順位を高く認識して頂き、具体策を示して頂けるのかにかかっています。
ポイント
契約外工事の防止法とは、
・事前に施主や設計事務所、元請と綿密な打ち合わせを行い、契約をきちんと結ぶこと
・設計、積算能力、お客様とのコミュニケーション能力が必要
・過去物件のデータベースを構築し発生頻度が高い契約外工事のチェック