なぜ情報共有ができないのか?
今、飯を食べていくために必要な、コストダウンを徹底的に行い価格競争力を磨くことや、社内に現存する技術や人を利用した提案営業もしくはサービス力の向上という戦略や戦術がこの業界ではあまり重要視されていない理由を、業界の習慣や特性から考えてみたいと思います。
ご存知のとおり、この業界では個別ごとに現場が違います。すなわち、場所や予算、種類、そして施主等、とにかく一つとして同じ現場はないと言えます。そして実際に仕事をどのようにこなしているかといえば、現場担当者毎に順番に現場をこなしていることが殆どです。つまり、一つの現場を全員で作ってから次の現場にいくという工事管理をしている会社は殆どお見受けしたことがありません。私の経験上ですが、とにかく仕事をこなすことに必死で、工事担当者毎の話し合いが頻繁に行われているのは余り見たことがありません。ある工事担当者からお聞きした話ですが、「自分のノウハウは自分のものだから、それを他人に教えるようなことはしない」という建設業特有の文化というのも若干影響しているのかもしれません。
つまりこの業界では、仕事のこなし方や文化等から、個々人のノウハウが共有しにくいという側面を持っているということではないでしょうか。
さて次に考えたいのは、そもそも、コストダウンを徹底的に行い価格競争力を磨くことや提案営業もしくはサービス力の向上という戦略の源はどこにあるのかということです。源がどこにあるのか、つまりその要因、ノウハウ、強みは会社のどこにあるのかということを考えてみてほしいのです。私はその源が、現場を経験してきている現場担当者そのものだと考えています。つまり目に見えない、人の中にあるのです。
個々人のノウハウは共有しにくい風土があり、しかし戦略の要因はそもそも現場担当者である人の中にある。だから、この業界では先の戦略が重要視されていないということになるのではないでしょうか。
ポイント