試算表の重要性について
前回までは、経営計画の行動計画を進捗管理していくのに必要な資料について考えてきました。今回からは、試算表について考えていくことにします。
私の経験からすると、ほとんどの建設業を営む会社で試算表を経営判断に利用していません。年一回の決算申告の為に作成しているだけです。その理由は、実際の工事毎の数値が工事終了後にはきちんと把握できるため、試算表で会社の業績を判断する必要性がないという点からきています。ですから、月一回の月次決算を行い、数値を検証するしくみ自体がない場合が多いのです。
当然ですが、試算表は必要な資料です。経営計画の利益計画と比較するのは決算書もしく試算表になります。具体的にいいますと、貸借対照表、損益計画書の数値を、利益計画と比較し検証をすることになります。もちろん個別工事毎の数値を把握し検証することも重要ですが、試算表でも検証することで以下の点が付加されると考えられます。
① 会社全体の数値が把握できる
② 一ヶ月毎の期間損益が把握できる
③ キャッシュフローが把握できる
この3つが付加されることで企業にとって自社の状況を的確に掴むことができるようになります。前提は、きちんと早めに月次決算体制を構築できることです。
私自身が試算表で早期に会社の業績を判断することで、一番メリットがあると考えていることは、今後の予測を把握できることにあると考えています。重要なことは、行動が実績を生み、その行動を継続すれば、結果として数ヶ月後の計画予算が達成できるかを、期中に予測できることです。これにより、計画と乖離している場合には、期中で手を打つことが、経営上重要です。
それでは、次回からはどのように試算表を作成し、それをどのように活用するのか具体的に考えていくことにします。
ポイント
試算表での検証を実施すると、
① 会社全体の数値が把握できる。
② 一ヶ月毎の期間損益が把握できる。
③ キャッシュフローが把握できる。