管理資料の重要性について考えてみる(2)

工事別管理カードについて

今回からは具体的な管理資料について考えていくことにしましょう。

まず、あげられる管理資料として「工事別管理カード」があります。これは、営業段階から受注して着工、工事途中の情報、竣工、そして精算までの一連の流れをカード化したものです。営業段階であとに出てくる管理資料のABCランク別工事管理表の全工事営業案件についてカード化し、顧客との対話等のすべてを残していくことを、私どもではお願いしています。
 
このように工事毎の情報を集約しカード化して会社全体の目を通せるしくみを構築することが重要になります。その理由は、「会議の重要性について考えてみる」でも触れましたが、この業界では現場レベルで行われている行動が共有化されにくく、そのことで営業ノウハウや技術力といった会社の戦略上非常に重要な要因が個人の属性に依存して経営活動が行われています。そのため、組織的な営業力や技術力に変換していくことが、他社との差別化の要因になるのです。

「工事別管理カード」の運用にあたり、情報共有ができるグループウエアソフトを利用してしくみを構築するのが、最も効率的で実用性にも優れていると思われます。私どもとしては、ソフトがある会社はそれを利用し、ない会社はペーパーベースのカードを利用することにしています。

ここで面白いのは、ほとんどの会社で営業段階からの情報の集約は別にして、受注になった物件に関してはカードを作る枠組み自体は構築されています。ISOです。しかしほとんどの会社では、形骸化してしまっているのです。せっかく、ある程度の枠組みが構築されているのに運用されていない理由はどこにあるのでしょうか。

私の個人的な見解ですが、会社全体がISOの本来の目的を見失い、経営審査の加点のみが目的になっているということです。本来の目的である情報共有、つまり、儲けにつながる個人のノウハウや技術力を組織的なものに変換するということ自体を理解していないからではないかと考えています。ですから、現在の枠組みを徹底していくことで、組織的な差別化要因を作り出せる可能性は十分あるわけです。

それでは、次回からは具体的な工事別管理カードの内容について考えていくことにします。

 ポイント 
  
 工事別管理カード
  ・受注になった物件に関しては、殆どの企業で構築できている
  ・営業段階から全ての工事営業案件にカード化し、顧客との対話等を残すことが必要 

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