要因分析について(2)フィッシュボーンを検証する【中小製造業のQCサークル:第9回】

前回は、「THE金型名人」サークルが「立上り品質トラブルがなぜ起きているのか」を知るために、「特性要因図(フィッシュボーンチャート)」を作成したところまでをお話しました。
この特性要因図は、枝の数が多ければ多いほど良いとも言われています。
そして一通りの要因が出たと思ったら、その要因が本当に特性に影響しているかを検証していくことになります。

例えば、溶接個所が多いと、本当に金型のヒビ・割れが多くなるのでしょうか。
ここで、散布図(これもQC7つ道具の1つ)を使って、溶接個所とヒビ・割れの件数の相関関係を検証していくのです。

この検証という作業により、メンバーの「思い込み」を排除します。
「思い込み」で要因を出してしまうと、その後の対策の検討が間違った方向へ行ってしまうからです。

フィッシュボーンによる要因分析で陥りやすい失敗は、この段階にくると往々にして落としどころを考えてしまい、深い議論にならないことです。
本当の要因を出して、それを解決しようとすると発表会に間に合わない・・・などの思惑から浅い議論になりがちになってしまいます。

そうなってしまった場合、要因分析から導き出される対策案は、結局は中途半端なものに留まってしまいます。
もちろん、落としどころを見つけるということも業務の中で大切なことではありますが、せっかくのQCサークルですから、メンバーで真の議論をして、より深く考えてもらうことが私どもは大切だと思っています。

それでは、次回はこの要因分析を元に、Nさん達がどのように対策案を検討したか、見ていきたいと思います。

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この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

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