前回までは、「THE金型名人」サークルでの事例をもとに、QCサークル活動の現状把握について考えてきました。今回は、問題が「なぜ起きているのか」という要因分析についてお話したいと思います。「原因がわかれば、対策は自ずと見えてくる」、です!
Nさんたちは、立上り品質トラブルが起きている要因の抽出のために、「特性要因図」を作成することにしました。特性要因図とは、QC7つ道具の中で最もよく用いられる手法かもしれません。魚の骨に似ているので、フィッシュボーンチャートとも言われています。頭の部分にあたる「特性」は、管理・改善する事項で、悪さ加減で表現します。Nさんたちは、「金型の立上り品質トラブルが起きている」としました。
そして、その要因として、大きな骨を4つ作りました。「製品(に表れる事象と原因)」、「金型(に表れる事象と原因)」、「人」、そして「仕組み」です。一般的には、議論のスタートとして4M(機械、材料、方法、人)で要因を挙げると、取りかかりやすいと言われています。そして、これらの大骨を中骨、小骨に展開していきます。(以下はNさんたちの特性要因図の一部抜粋です。○○、なぜなら○○、なぜなら○○と読んでみて下さい。)
(1)製品
・ ヒケ、ソリが発生している←材料がきちんと充填できていない←充填分析ができていない
・ 成形サイクルが長くなっている←冷却不足←冷却回路の設定が悪い
(2)金型
・ ヒビ、割れが発生している←強度が弱い←溶接個所が多い←設計変更が多い←議論が不十分のまま図面を書いている
・ ヒビ、割れが発生している←アンダーカット部の強度が弱い←アンダーカットが多い
(3)人
・ 設計段階でノウハウが反映できていない←伝えモレがある←開発段階で打合せをしていない
・ 問題に気付くのが遅い←技術不足←教育していない
(4)仕組み
・ 過去の反省が活かされていない←モデル図の整備が不十分←整備・更新について明確なルールがない
特性要因図は「作って終わり」ではなく、それらを検証してみることが大切です。次回は、この検証という作業について、もう少し詳しくお話したいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/