実務へのオペレーティング【再建計画書シリーズ・第7回】

皆様、夏もいよいよ真っ盛りになっておりますが、如何お過ごしでしょうか?
今年は少し全体的には、涼しい夏だったと言われているようですが、知恵と熱意を総動員して、皆様の会社は、是非是非、「一番暑い夏」に、して下さいませ!それでは、今日も再建計画シリーズにお付き合い下さいませ。   <(_ _)>

◆前回までの流れ
再建計画書による企業再生の流れを説明させて頂いています。
第1回は、再建計画書作成の意義とその流れ
第2回は、資金繰り表の作成と当面の資金の手当について、
第3回は、現状把握(時価バランス、清算バランス、損益分析)
第4回は、予算の組立について、
第5回は、再建計画書の作成について、
第6回は、金融機関交渉について、      説明させて頂きました。

今回(第7回)は、実務へのオペレーティング(作成した再建計画書の月次予算への展開、徹底した予算実績管理、数字を現実にする為のアクションプランからPDCAへの展開)について、説明させて頂きます。

◆再建計画実行に向けてのポイントとは・・・

さてさて、再建計画書シリーズも、いよいよ終わりに近づいて参りました。今回は、いよいよ立てた再建計画に従って、本当に実行していくためのポイントを、説明していきたいと思います。

◆まずは、毎月の数字にすることです・・・

1.作成した再建計画書の月次予算への展開
まずは、立てた再建計画書を、月次(毎月)の予算へ展開していきます。このときには、商売によっては、既に売り上げ内容が決まっている場合や、売上に季節変動が有る場合の調整も当然のごとく、盛り込みます。 経費関係にしても、何時必要かが分かっているものは、出来るだけ正確に割
り振りいたします。今後、この予算を軸に、達成したか否かで、一喜一憂していく訳ですから、出来るだけ、気合いを込めて、正確に展開して下さい。

2.徹底した予算実績管理

◆特にこのセレモニーは絶対必要!
 <経営計画発表会>
  最初に絶対にやらねばならないのは、社内への経営計画の発表会です。この計画を実行に向けて動くのは、紛れもなく、社員なのですから、彼らに対する目標の掲示と、絶対にやり遂げねばならないと言う強い使命感を「共有」する作業は、何よりも大切です。この発表会は、「気合いを入れて」「厳かに」行って下さい。発表会を成功させるポイントは、以下3点です。

(1)過去の経営悪化の原因は、「経営者」に有ると言うことを、素直に認めること!

経営者の方にも、色々言い分はあると思いますが、こうなった(経営が悪化した)原因の一番は、紛れもなく自分であるということを、きちんと認めて下さい。「潔く」、責任を認められない経営者に、絶対に人はついてきません。

(2)会社を助けるために、働いて欲しいと言うことを、素直に「お願い」すること。

会社が生き残るか、それともだめになってしまうかの「鍵」の殆どは、従業員さんが、本当に一生懸命に協力してくれるかどうかにかかっております。念のために申し上げておきますが、経営者様にとって、従業員は、「社内顧客」です。サウスウエスト航空は、「従業員第1主義」を掲げて、見事に成功しております。こういった危機的状況だからこそ、皆が一致団結して、難局を乗り切るといった、抜本的な改革が必要です。
そのためには、素直に、頭を下げて、助けて欲しいということをお願いして下さい。(その代わり、それでも全く働かない人は、次の段階でリストラの対象です。平均的な会社であれば、2割くらいは、そういう方もいらっしゃいます。困った時に自分の会社を救うために全力をあげられないような人材は、どのような場面でも絶対に使いようがありません!)

(3)「背水の陣」であることをきちんと伝え、「不退転の決意」と「危機感」を伝えること。
今までも、予算を立てて、結局守れなかったというような経験はあるかもしれません。折角、計画を発表しても、悪い会社ほど、「出来ない理由を探すのが非常に上手な、中間管理職」がたくさんいます。この計画だけは、社運を賭けて絶対に達成しなければならないものであることを、きちんと伝えて下さい。「・・・という理由でできない」「・・・があるから難しい」という意見は、絶対に許してはなりません。逆に、「何とか達成するためには、何をすればいいのか?」という頭に、全員が切り換えるように徹底して下さい。

◆毎月のチェックも怠らず・・・ 
<月次経営会議(又は幹部会)の実施>
計画予算と、実績との比較を行い、もし、予算と実績の乖離があれば、その原因を考えタイムリーに対応策を打っていける会議の場を、必ず設けて下さい。

3.数字を現実にする為のアクションプランからPDCAへの展開

◆毎月の会議におけるポイントです・・・  

月次経営会議において、速やかに予算と実績の比較を行い、タイムリーにその対応策を打っていくと申し上げましたが、これをきちんと行うために欠かせないポイントがいくつかありますので、それを列挙いたします。

(1)月次仮決算の導入
毎月の成績表である試算表をきちんとつくっていない会社は多いと思います。今後、きちんと予算管理をしていく中で、これは絶対に必要で、最も重要なことです。少なくとも、翌月の中頃までに、きちんとした試算表ができるような体制作りをして下さい。

(2)PDCAとアクションプラン中心の会議への転換
できない会社の会議の典型として、色々話し合いをするのだが、直ぐに話が脱線し、結果として、次までに何をするのか(いわゆるアクションプラン)が決まらず、更には議事録すらも取っていないので、前回会議で何を話し合ったのかすら、思い出せないといったような「無意味な会議」をやっているところが、実は非常に多いと思います。

これからは、PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(予算実績チェック)→ACTION(次のアクションプランの決定)というサイクルがきちんと回る会議を徹底して下さい。
   
例えば、売り上げ目標は、「次までの目標数字がいくらです」といった言い方では、現場の営業マンは、何をすればいいかが分かりません。「目標数字を達成するために、具体的にこういった活動を新たに行おう・・・」これが、アクションプランです。そして、そのアクションプランには、必ず実行責任者と、実行期限を、きちんと盛り込んで下さい。責任と期限が曖昧になると、絶対にプランが徹底できません。

そして、立てたアクションプランは、必ず議事録を取って記録に残し、次回会議で、必ずチェックを行う。そして、もし効果が上がってなければ、その原因を考え、次なるアクションプランをきちんと決定する・・・と、こういったスタイルを徹底して下さい。

◆最後に後書きです・・・

如何でしたか?以上のやり方をきちんと行えれば、会社の雰囲気は明らかに変わってきますし、必ず結果はついてきます。少なくとも6ヶ月もすれば、明らかに、皆が、会社の業績を上げるためにはどうすれば良いかを常に考えながら、日々の業務に取り組むようになってくるはずです。

もし、なにも変わらないのであれば、それは、トップである貴方の熱意が足らないのだと思って下さい。ここまでやって、最後は、会社が変われるか否かは、すべて「熱き心」が、共有できているかどうかにかかっております。経営者である貴方さえ、熱い心をもって取り組めば、絶対に周りの空気も変わり、会社の業績も変わってきます!  頑張れ、社長!  p(>_<)q
                                    
( 続 く ・・・ )

※次回はいよいよ、再建計画シリーズの最終回です。金融機関への報告について説明いたします。

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