予算の組立【再建計画書シリーズ・第4回】

皆様、お元気ですか?
色んな場面で、本当に真剣にお付き合い下さるお客様と、ふれあう機会が増えているせいか、最近とっても精神的に過敏になって、我ながら涙もろくなってしまっていると感じる、経営支援室の久保です。 (T_T)
さて、今日も張り切って参りましょう・・・ (^_^)v

◆前回までの流れ
再建計画書による企業再生の流れを説明させて頂いています。
第1回は、再建計画書作成の意義とその流れを
第2回は、資金繰り表の作成と当面の資金の手当について
第3回は、現状把握(時価バランス、清算バランス、損益分析)でした。

今回は、第4回として、再建計画書作成の第一歩である、予算の組立について、説明させて頂きます。

◆まずは、おおまかな目安の作成です・・・

さて、社長様から、「この会社を何がなんでも再生するんだ!」という決意表明を頂いた後、まずやらなければならないのは、どの程度の予算を組まねばならないかという目安を決める事です。

これについては、会社によって、絶対という基準は存在しませんが、おおざっぱな目安として以下2点を考えて下さればよろしいかと考えます。

(1) 時価バランスの「実質債務超過額」を、向こう5年以内で、解消できること。
(2)「無担保借入金」を、向こう10年以内で、返済できること。

この2点の根拠は、金融庁のガイドラインから来ています。従って、このラインに沿って、再建計画書を作ることは、金融機関の理解を得る為にも必要な事なのです。

上記の2つの条件を満たすために必要な利益を考えていくと、社長様が今まで想像しなかった、かなりとんでもない利益額となってしまうかもしれません。中には、「とんでもない、久保さん。そんな利益本当にでるんですか?大体、先に利益から決まる経営計画なんて、なにかおかしいのではないですか?」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

それでも、現実を見据え、あくまでも「自力再生」を考える場合は、これしかないのです。(もちろん、どんなに逆立ちをしても不可能だ!という場合には、色々他のスキームを考えていきますが・・・)
それと、利益をいくら出そうという、尻から作った経営計画書というのは、「絶対に有り」です。私に言わせると、出たとこ勝負で、決算を締めてみないと、利益額が分からないような経営では、とても企業再生はあり得ないということになります・・・

◆と、ここで、ちょっと申し上げたいことが・・・

とにかく、これで当面必要な利益額の目安が出たわけです。ここで、必要なのが、(2)の借入金返済に必要なのは、実は「利益」ではなく、「キャッシュフロー」なのだという事です。

詳しく説明すると、長くなりすぎますが、要するに、遊休資産の売却や、在庫の圧縮、売掛債権の早期回収等による、キャッシュフローの増加分も、返済原資になると言うことです。

従って、営業努力や経費の削減により、利益を多く出すという事以外に、資産を出来るだけ、圧縮(つまり、金に換えて)して、キャッシュフローを良くする計画も立てなければいけません。これが、いわゆる、「財務リストラ」というやつです。

◆リストラについて、ちょっと補足説明です・・・

ついでですから、「リストラ」の種類、定義について、若干、補足説明いたします。

皆さん世間一般には、リストラというと、人切りのイメージだけが先行しがちですが、実は、リストラには、大きく分けて、以下の3種類のものが存在します。

(1)業務リストラ:各種経費の削減や、仕入、外注コストの見直し等、いわゆる今の業務内容自体を自助努力でもって、黒字化しようというものです。

(2)事業リストラ:今の事業部門の中で、例えば不採算部門を切り捨てて、採算部門を強化したり、新規部門に乗りだしたりという、戦略的なリストラプランです。
(3)財務リストラ:前述した、いわゆる資産の圧縮等により、キャッシュを捻出し、借入金を圧縮するといったような、バランスシートの改善によるリストラです。
以上のリストラを、何れも効率よく組み合わせて、初めて再生プランができあがっていく訳です・・・
                                
( 続  く )

※次回は、いよいよ、再建計画書の作成について、入って参ります。

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