前回説明しました、一般的な企業再建の流れは、以下の通りです。
(1)緻密な資金繰り表の作成、向こう2~3ヶ月の資金の手当
(2)現状把握
時価バランス、清算バランス、損益計算書の分析
(3)予算の組立
実質債務超過の解消計画
無担保借入金弁済計画
(4)再建計画書の作成
現状から、実現可能なリストラを行った上での損益計画
金融機関を納得させられる、損益・キャッシュフロー計画の作成
(5)金融機関交渉
再建計画の説明と、実現に向けた協力要請
リスケジュール、追加支援等の要請
(6)実務へのオペレーティング
作成した再建計画書の月次予算への展開
徹底した予算実績管理
数字を現実にする為のアクションプランからPDCAへの展開
(7)金融機関への報告
タイムリーな資金繰り表、予算実績管理表(試算表)の提供
継続的な業況説明と、信頼関係の構築
今回は、上記流れの(1)について説明させて頂きます。
はじめに申し上げておきますが、企業再生・企業再建は、上の手順通りにやれば、誰でも簡単にできるものでは、ありません。
本当に大切なのは、手順とかいうような、マニュアル的なものでなく、経営者の覚悟とか、従業員の意識改革といった、人の心の部分です。特に、トップの方は、「決心した以上、絶対にやり遂げる!」「決して最後まで諦めない!」といった気持ちを強く持ち、腹をくくっていただかないと、折角立てた再建計画書が、「絵に描いた餅」になってしまうのは、言うまでもありません。
前置きが長くなってしまってすみません。 (^_^;)
それでは、本題に入っていきましょう。
(1)綿密な資金繰り表の作成、向こう2ヶ月間の資金の手当
経営が苦しくなったとき、最も急ぐのは何でしょうか?
もう、言うまでもないと思いますが、ほぼ100%が資金の問題です。従って、まずやらねばならないことが、きちんとした資金繰り表の作成です。ところが、経験則ですが、中小企業の経営者様(又は奥さん・経理部長・・)の場合、殆どの場合が、これをまともに作っていません。作っていたとしても、非常におおざっぱなものであったり、分かりにくいものである場合が多いです。
資金繰り表は、「緻密に」「正確に」「分かりやすく」作ることが必要です。例えば、区切りも、1ヶ月単位といった、雑駁なものではなく、支払の節目毎(例えば、手形決済日:10日、給与:25日、支払日:末日とか・)に区切ったものを作ります。これによって、対銀行への説明も非常にスムーズになるはずです。
※エクセル版の資金繰り表のひな型が欲しい方は、下記アドレスへ連絡下さい。
kubo@digitalbank.co.jp
(資金繰りファイル希望と明記下さい)
資金繰り表というのは、キャッシュフローで、何時お金が不足して、何時お金が充足するかを、一目で説明できるものでないと意味がありません。逆に、もし、きちんとしたものができれば、銀行が最も欲しい提出書類の一つです。ちゃんとした資金繰り表を、早めに提出するだけで、銀行の対応もずいぶん違ったものになるはずです。
次に、向こう2~3ヶ月の資金繰りを検討していきます。これから、再建計画書を、腰を据えて作っていくために、その間の資金繰りは、ちゃんと目処を付けておく必要があるからです。
資金繰り表によって明らかになった、不足金額と、不足期間を、銀行で借入することができれば、それに越したことはないのですが、大概の場合は、既に銀行からの追加借入は、極めて難しい状態になっております。
従って、親類・知人等からの借入や、支払延長要請、換金できる資産の売却、前渡金の要請等、あらゆる手段を講じて、とにかく目先2~3ヶ月の資金繰りの目処を付けるように致します。
さて、資金繰りの目処がつけば、いよいよ、本格的な作業に入っていく訳です。
( 続 く ・・・)
※次回は、②の現状把握について説明いたします。