経営会議で導入した付加価値重視の管理資料により、社内の意識が変わってきた?―工事部―(その2)【今からでも遅くない、本物の会議をやろう!建設業、管理、組織活性化・第13回】

設備工事業を営んでいるA社では、「付加価値(※文末参照)」を重視した管理資料を作成し、経営会議にて検討するようになりました。
工事部責任者の水上専務は、この付加価値の考え方を工事別の実行予算管理にも取り入れ、部下の指導を行うようになりました。

管理資料導入後②

A社工事部では毎日現場から戻った現場責任者が水上専務に、現場の進捗状況、実行予算に対して実績がどうなっているか報告します。
その中で、水上専務は、一人ひとりに「付加価値」の考え方について丁寧に、繰り返し説明してきました。

この取組が他部署より早く工事部に「付加価値」の考え方が浸透した一番のポイントです。

工事部の一人ひとりがこの考え方に基づき行動することで、水上専務が細かくチェックし、指示を出さなくても自然とムダな工事原価は掛からなくなっていきました。

現場での「付加価値向上」の取組が進んでくると次はどうしても会社全体の「付加価値」が気になってきます。

私も参加させて頂いている、工事部の主任会議では・・・

A主任:「ここ2年間は、赤字工事が発生することもあり、利益が出ていないから賞与は出せないと説明を聞いていましたが、現場は忙しいし、皆かんばっているが、どこまでがんばったら賞与が支給されるのですか?」

B主任:「現場では付加価値を少しでも出すために、外注人数を削減したり、現場間で機材をやりくりして、皆も頑張っている。以前に比べて大変な思いもしている。」

努力している優秀な従業員から、こういった意見が出てくるようになってきました。

そこで水上専務は、経営会議で社長が発表していた利益目標「今期は経常利益がトントン、来期からは経常黒字、3年後には賞与を出す。」をどのように工事部従業員に伝えるべきか、藤村総務部長と相談することにしました。

藤村総務部長:「工事部主任クラスに経常利益までの数値について公開するのは難しいし・・・」

私:「こういう時こそ『付加価値』で話をするべきですよ!」

水上専務:「社長目標から導きだされた全社の『付加価値』を目標とし、工事毎の『付加価値』を集計した工事部全体の『付加価値』について目標達成度合いを、皆に説明していこう!」

※付加価値の定義について
付加価値 = 完成工事高 - 外部購入原価(材料費、外注費、工事経費)となり、付加価値から労務費(社内労務費)、減価償却費などを差し引くと工事利益となります。なお、付加価値の定義には色々とありますが、本件では、上記の通り単純に考えることとします。

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