さて、前回より会議をテーマにお話をさせて頂いておりますが、今回よりA社の事例を中心にお話を進めていきたいと思います。
今回は、A社と出会った頃の状況についてお話したいと思います。
出会った頃のA社の状況
A社は完工高10億の地方の設備工事業の会社です。
受注高の約8割は大手ゼネコンや、地方ゼネコンから受注している会社です。
地元ゼネコンとのパイプも太く、業績は順調に推移してきました。
創業者である社長は、健康上の問題もあり10年ほど前から、経理部長に財務面を、専務取締役 兼 営業部長に営業等を任せて、第一線を退いていました。
ところが、5年ほど前から赤字工事が頻発し、資金繰りが悪化、借入金が増大し、金融機関も心配するような状況となってしまいました。
社長の第一線復帰
会社がこの様な状況にあるとは夢にも思っていなかった社長の驚きは大変なものだったと思いますが、A社の立て直しを決意、第一線に復帰しました。
社長はまず経費の徹底的な削減を実施し、工事原価の見直しにも着手しました。
ある程度の経費の削減が進んだところで、私は縁あってA社をお手伝いするようになりました。
社長からは、工事原価の削減を進めるための管理のしくみ作りを依頼されていました。
私は、コンサルティングを始める前に、まずは役職者以上の従業員一人ひとりからヒアリングを行い、組織の状況や現状をどのぐらい認識しているかを把握していきました。
社長が第一線を退いていた間に、財務面もそうですが、組織面もひどい状況になっていました。
部署間で軋轢が生まれており、「赤字工事は、営業が工事の内容を詳細に検討せずに受注したからだ」と主張する工事部と「金額を下げなければ受注出来ない。コストダウンを図るのは工事部の責任ではないか」と主張する営業部が対立して互いに責任をなすりつけているような状況でした。
また、営業部や工事部の担当者は、実際の工事原価や工事利益も把握しておらず、工事完成から数カ月後に、経理部で計算されているといった有り様です。
経理部から営業部や工事部へもこの結果は伝えられることはありません。
私は、工事原価管理のしくみを作ることも重要ですが、同時に組織面の状況についても早急に改善する必要があることを社長報告しました。
社長もこれらの問題点は、把握されており、営業部長と工事部長からの情報収集を密に行うようにしているとのお話でした。
次回は、A社にて会議を開催するにいたった経緯についてお話したいと思います。