中堅企業成長促進パッケージの背景と目的

政府は2024年3月、中堅企業に効果的な18事業を中心にまとめた中堅企業成長促進パッケージを公表しました。

2024年を「中堅企業元年」と位置付けていることからもわかるように、今回の支援施策はこれまで、「我が国経済の屋台骨」とされていた小規模・中小企業支援に主眼が置かれていた従来の施策とは異なる路線となっています。
政府が中堅企業に対する支援に本腰を入れたのはなぜでしょうか。

「中堅企業成長促進パッケージ」とは

政府は2024年3月、中堅企業に効果的な18事業を中心にまとめた中堅企業成長促進パッケージを公表しました。

2024年を「中堅企業元年」と位置付けていることからもわかるように、今回の支援施策はこれまで、「我が国経済の屋台骨」とされていた小規模・中小企業支援に主眼が置かれていた従来の施策とは異なる路線となっています。
政府が中堅企業に対する支援に本腰を入れたのはなぜでしょうか。

中堅企業の定義

これまで中堅企業に関する法律上の規定はなく、政府の資料でもケースバイケースとなっていました。
このため、政府は産業競争力強化法の改正などにより「常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社等(中小企業を除く)」を中堅企業として定義しました。

また、人数だけでなく、中堅企業は中小企業を卒業した企業であり、規模拡大に伴い経営の高度化といったビジネスの発展や商圏の拡大・事業の多角化が見られる段階の企業群のことを指す、とも記しています。

出典:「中堅企業成長促進パッケージ」2024年3月13日、中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ_資料1より

このような中堅企業は国内で事業・投資を拡大し、地域での賃上げにも貢献している重要な存在である一方で、国際的にみると中堅企業から大企業へと成長する企業の割合は低く、その背景としてこれらの企業の成長投資などへの支援策が不足しているのではないかと指摘されていました。

というのも、これまで従業員300人以下または資本金3億円以下の企業が中小企業、その規模を超える場合は大企業と位置付けられ、中小企業向けの支援策の対象外となっていたためです。

しかし、既述の通り中堅企業は地域経済の中核的な存在であることが多く、成長に向けた政策支援の余地が大きいと見られます。
そこで、新政策によって賃上げや成長投資に前向きな企業を支援し、中堅企業の成長、事業再編の促進、経済成長や地域の雇用拡大及び大幅な
賃上げ等につなげていこう
というのが今回の制度設計でしょう。

中堅企業成長促進パッケージ

中堅企業成長促進パッケージは、次頁図のように4つの柱で構成されています。

国内投資拡大・
イノベーションの促進

良質な雇用の実現

外需獲得(グローバル展開・インバウンド取込)の支援等

経営基盤の強化・整備

国内投資拡大・
イノベーションの促進

良質な雇用の実現

外需獲得(グローバル展開・インバウンド取込)の支援等

経営基盤の強化・整備

なお、「中堅企業」施策としつつも中小企業にも門戸は広げられています。
しかし、例えば「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」の要件が「設備投資総額10億円以上」とあるように、
小規模事業者ではなかなか手が出しにくい内容となっており、現実的には比較的規模の大きい企業を対象として想定していることは明確です。

このように成長意欲のある企業にとっては、飛躍のチャンスの年と言えるでしょう。

弊社では、制度改正等の趣旨を踏まえた上でお客様の事業が効果的・効率的に成長できるよう補助金活用支援や各種コンサルティングサービスを
提供しています。
特に、規模拡大に耐えうる経営管理体制の構築など長期的な視野に立った伴走支援を得意としております。お気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

大久保 伊崇
(株式会社みどり合同経営 コンサルタント)

駒澤大学経済学部商学科卒業、青山学院大学会計プロフェッション研究科 会計プロフェッション専攻修了。
管理会計の業績測定を主軸に、会社法や情報開示など会社経営全般が専門分野。

齊藤 慶太
(株式会社みどり合同経営 コンサルタント/中小企業診断士)

東京大学経済学部経済学科・東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻終了。製造業海外駐在、上場企業経営企画などを経て、当社へ入社。

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