最近、めっきり寒くなってきましたが、皆様、元気でお過ごしですか?
今の季節は鍋に熱燗かなんかで、「きゅーっ」と一杯やりたいものですが、最近、めっきり忙しくて、なかなかその機会に恵まれないのが辛いです。 (T_T)
それはさておき、今日も張り切っていきましょう!
◆前回の続き・・・なんで、「減価償却費」が返済財源になるのですか?
前回まで説明してきました、(長期資金の返済原資は税引き前利益+減価償却費)と、お伝えしましたが、それでは、なぜ、減価償却費が返済財源になるかについて、考えてみましょう・・・
◆まず、減価償却費の意味について考えてみましょう・・・
いいですか、もし今の段階で、上の質問の意味がピンときていない方は、チャンスですから、少し我慢して、最後までこのコーナーを熟読して下さい。
キャッシュフローの考え方の大きなヒントが潜んでいると思いますので・・・
◆減価償却費とは、そもそも、どんな経費ですか?
極めて簡単な例で考えてみましょう。
ある会社が、生産能力アップのために、10年間使える機械を、1000万円で購入しました。
この場合、この機械を使うことによって、生産効率が良くなり、毎年利益が200万円ずつアップしたとします。(つまり、向こう10年間に渡って、毎年200万円ずつ利益が増えるということですね。)
それでは、この機械を買ったお金は、いつ経費で計上するのでしょうか?普通の経費は全て、支払った時点で、経費になりますよね・・・
でも、この場合、支払った年に全額(1000万円)経費にしてしまえばどうなるでしょうか?(下の表を見てみて頂けますか?)
<表1>
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目・・
収益(今回設備投資に 200 200 200 200 200 200・・
より増えた分)
経費( 〃 ) 1000 0 0 0 0 0・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――
差引損益 △800 200 200 200 200 200・・
どうですか?なんか変だと思いませんか?同じ事をやっているのに、1年目だけ赤字が800万円でて、2年目からは毎年200万円黒字というのは、おかしいですよね。
この設備投資によって、10年間、同じ収益上の効果が上がるのなら、同じように、10年間に渡って経費も均等に計上するべきですよね・・・(下表参照下さい)
<表2>
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目・・
収益(今回設備投資に 200 200 200 200 200 200・・
より増えた分)
経費( 〃 ) 100 100 100 100 100 100・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――
差引損益 100 100 100 100 100 100・・
絶対、下のパターンの方が、しっくりいきますよね・・・・!
簡単に言うと、このように経費を計上するのが、「減価償却費」という考え方です。
1000万円で10年使えるなら、10分の1ずつ、毎年経費にするいうことです。
※厳密に言うと、10年間で全額は経費にならず90%迄しかだめであるとか、同じ額を経費で落とす定額法だけでなく、同じ比率で落とす定率法があるとか、法律上は細かいことが、たくさんありますが、今回は無視します。
つまり、この場合には、キャッシュフロー(現金の出入り)では、1年目に1000万円(全額)マイナスとなってしまいますが、会計上の損益計算では、毎年、100万円ずつ、経費になっていくわけです。
そうすると、2年目以降はどういうことがおこるかといいますと、差引の損益は上の<表2>からいうと、毎年100万円の利益アップですよね・・・ ところが、この経費(毎年100万円=減価償却費)は、実際に現金が出ていくものではありませんよね。(現金が出ていったのは最初の年の1千万円のみ)
つまり、キャッシュフロー(現金の出入り)では、毎年200万円ずつ余っているはずなのです。
※例えば、<表2>の2年目以降でいうと
差引利益100+減価償却費(現金のでない経費)100=余った現金200です。いいかえると
増加収益 200-現金の出た経費 0 =余った現金200 です。
分かりますよね。つまり、差引利益+減価償却費=余った現金ですから、これが、借入金の返済原資になるわけです。
くどいようですが、別の言い方で説明すると、なぜ、減価償却費を足すかといえば、差引利益は、もともと減価償却費をひいた上で出た利益ですよね。 ところが、この「減価償却費」は、現金が実際に出ていったものではありません。従って、キャッシュフロー(現金の出入り)の計算をする場合には、お金が出てないのですから、もう一度元に戻してやる為に、(一度引いたものを)足してやる訳です。
なお、実際には利益には税金がかかりますから、返済原資の計算は返済原資=税引き後利益+減価償却費 となるわけです。
銀行は、この方法で、長期資金の返済原資があるかどうかをチェックするのです。
そして、年間の返済額の方が、この原資よりも大きくなりそうな場合には、基本的には、お金を貸してくれないという訳です。
バブルの頃は、この返済原資が全く足らないでも、担保さえ有れば、貸してくれたものですが、今は、返済原資がきちんとしているかどうかを重視しますから、もし、返すあて(返済原資)がきちんと無いところには、絶対に銀行はお金を貸してくれません。
いかがですか?銀行が貸してくれないと嘆く前に、もう一度、自分の会社の長期資金の資金繰りがちゃんと回っているかどうかを、チェックしてみて下さい。
資金繰りで困っているところは、ほとんど、これ(返済財源)が不足しております。そういうときには、どうすればいいのかって? これは紙面の都合で、次回へ譲ることと致します。 (^_^)/~
( 続 く ・・・)