原価企画での目標設定について【中小製造業の原価企画のポイント・第7回】

前回は原価企画の重要性についてお話しました。
繰り返しになりますが、製品の開発設計段階での上手な企画は、製造段階でのコストダウン活動に比べ、10倍もの効果があるとか、「原価の8割は設計(仕様)で決まる」といわれています。
今回は、この原価企画の目標設定について、お話していきたいと思います。
原価企画というと難しいのですが、コスト削減のブレイク・スルーを狙うことになります。
製品企画だけではないですよ、ブレイク・スルーは!

適正な目標原価とは、前にもお話ししました通り、お客様からいただける価値によって決まります。
つまり、市場のニーズや競合他社との競争関係などによって決まるため、一概にどれだけコストダウンすることが原価企画の目標だ、とはいえないかもしれません。
しかし、あくまでも目安ではありますが、原価企画に真剣に取り組んでいる企業では、「30%コストダウン!」や更には「コスト1/2!」という目標設定のもと、全社的な取組みをしていることが多いのが実情ではないでしょうか。

その根拠としては、30%のコストダウンを狙うのであれば、設計から根本的に発想を変えるということが必要になり、単に製造部門や工場長へ苦労を押しつけたり(押し付けとは思っていないのですが、結果無理強いになっている・・・)、下請メーカーさんなどに無理な値下げを強いたりするだけでは済まないレベルであることに意味があるからです。
ただし、もちろん無理な目標設定によって、そもそものコストダウン意欲が上がらないのでは仕方がありませんので、会社の実情にあった目標設定が必要になります(意欲については、またお話する機会があればと思っています)。

大事なことは、この目標をブレークダウンするということです。
例えば、30%のコストダウンを狙う場合には、全ての構成要素(以下、簡易的に「部品」といいます)を30%ダウンさせるということではなく、影響度の大きい部品をピックアップし、それらの部品のコストを1/2にするにはどうしたらいいかを考えるということです。
このように、2~3割の要因が、7~8割の結果を決めるという、よく言われる法則に基づいて検証していきましょう。
そうすることにより、より少ない時間と労力で目標にたどり着くことができます。

更には、コストを1/2にするだけでなく、ゼロにする、つまり本当に必要なものかを再検証し、不要であれば、その部品や機能自体をなくしてしまうということです。
原価企画の目標については、コスト面だけでなく、部品点数を何パーセント削減するとか、部品の標準化率(他で使っているものを流用する)を何パーセントにするといった目標設定をしていくと、より具体的になり良いと思います。
更に、部門別に、開発設計部門でいくら、購買部門でいくら、製造部門でいくらなど、部門毎の目標設定も必要に応じて行ないます。
機能自体をなくすことについては、ちょっと難しい問題ですね。これもまた、別の機会に話をしたいと思います。

コストダウンを管理するため、製品を末端の構成部品まで分解したツリー(構成部品の一覧表)を作成し、コストダウンの対象部品については、その横に目標原価を記入します。
原価企画は全社的な取組みが前提になりますから、この目標が記載されたツリーを全関連部門に公表し、ベクトルを合わせることが重要です。
これで、晴れて原価企画のキックオフです!

次回は、コスト低減活動のPDCAサイクルとその前提条件について考えてみたいと思います。

この記事の執筆者

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

この記事の執筆者

犬飼

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営
取締役
中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

関連記事