キャッシュフロー入門編5・・・企業活動で必要な資金と銀行借入(短期資金:後編3)

皆様いかがお過ごしですか?
日本シリーズは、ダイエーの優勝で幕を閉じましたが、阪神ファンの私としても、球団身売り説の絶えない中、チーム一丸となって頑張ったダイエーには、拍手を送りたいです。

同時に、久しぶりに良い夢を見させてくれた、阪神の星野監督には、声を大にして「ありがとう」を連呼したい気分です!
「あ・り・が・とーーうっ!パチパチパチ・・・」

さて、今日も頑張っていきましょう。

今回は、短期の資金繰りシリーズの最終回です。買掛債務を増やして資金繰りを楽にする方法を、考えてみましょう・・・

◆買掛債務を増やして、資金繰りを楽にしよう・・・

最後に、買掛債務に移っていきましょう・・・
これは、今までの説明を聞いていただいてお分かりの通り、多ければ多いほど、 資金繰りは、楽になります。当然ですね。だってこれは「支払を待ってもらっている分」なのですから・・ 多くの支払を、待ってもらえばもらうほど、自分の資金繰りは、良くなって行きますよね。

具体的には、買掛金と、支払手形を、いかに多くするかという事になります。

◆まず、買掛金を多くする方法はなんでしょうか?

買掛金とは、掛で買った物を支払う時期を、待ってもらっている分です。単純に言えば、支払時期を延ばしてもらうということですから、以下の様なことが考えられます。
 
・支払の締めと支払時期を変える。
 
特に諸払いなんかは、全社的に変わりましたということで、きちんとした書面を用意して締めと払いの時期をうまく変えてしまいます。
 
例えば、今まで月末締めの翌月10日払いであれば、これを月末締めの翌月末払いとすれば、支払サイトは20日長くなります。
月の支払が1000万円あれば、1000万円×20日÷30日≒666万円 資金が浮いてきます。

・現金払いを手形払いに切り替えてもらう

これは、非常に慎重に検討する必要があります。当然、これをやれば、資金繰りを楽にするのは、分かってますが、大きな落とし穴があります。
 
もう、皆さんは分かっていると思いますが、手形決済にすると言うことは、「絶対に待ったなし」の支払約束を抱えるということだからです。

例え、先に払う約束でも、手形を切っていなければ、いざというときには、相手方に事情を話して、場合によっては、支払日を延ばしてもらうこともできますが、手形の場合は、基本的には絶対に、決済しなければなりません。もし、決済できずに「不渡り」を起こしてしまった場合、その事実はあっという間に周りの取引先に知れ渡ってしまい、今後の取引に重大な悪影響を及ぼします。(殆どの場合は、事実上倒産の危機に追い込まれます。)

従って、そのことを十分に検討しつつ、やはり手形で払うというのは、資金繰りを楽にする意味では、十分に魅力がありますから、やってみる価値はあるのです。
仮に月の仕入が1000万円の会社が、そのうちの50%を3ヶ月の手形払いに変えれば1000万円×50%×3ヶ月=1500万円で、なんと1500万円の資金が浮いてきます。

◆支払手形も、同様ですね・・・・

そうです。同様に、支払手形も、サイト(支払期日までの期間)を伸ばしてもらうとか、締め日と支払日を変えて、少しでも後払いになるように工夫することが、重要になってきます。基本的な仕組みは、買掛金の場合と同じです。

◆ところで、さっきの手形の落とし穴の話が気になるんですが・・・

究極の話をしますと、企業がどんなに赤字経営を続けても、絶対に倒産しないパターンが二つあります。(あくまでも究極の話ですから、そういった意味で聞いて下さいね。)

まず一つは、「銀行(又は他のスポンサー)が、湯水のように金を貸し続ける」こと・・・
そして、もう一つが、「手形を切らない(振り出さない)」ことなのです。

一つ目は分かりますよね。企業は、その内容がどうであれ、お金が続く限り回って行く訳ですから、例え返すあてがなくとも、お金を貸し続けてくれるところがあれば、倒産しないということです。

二つ目は、手形以外の支払は、極端に言えば、払わなくても、何とか待ってもらえますので、直ぐには倒産に結びつかないと言う意味です。(厳密には、払ってもらえなかった債権者から法的手続の申立がなされる場合もありますが、これも直ぐに倒産という意味では、ありません)

もちろん、あまりいい意味ではありませんが、言いたかったのは、「手形」というのは、それだけ「待ったなし」の支払ですから、それを意識して減らすことが、会社をつぶれにくくする意味も持っている事だけは、理解して頂きたいということです。

従って、今まで述べてきた対策の中で、この支払手形を増やして資金繰りを楽にする対策だけは、意味を考えて、慎重に行って頂きたいということです。(はっきり言いますと、資金調達に自信のある会社はやってもいいという意味です。)

◆それでは、おさらいです・・・

如何でしたか、キャッシュフロー入門編の1~5として、短期資金の仕組みと、それを工夫して、資金繰りを楽にする方法を考えて来ました。資金の計算なんかは、あまり見る気もしなかったという方も多いと思いますが、慣れてしまえば、非常に役に立ちますので、是非、我慢して読み返してみて下さいね・・・

次回からは、長期資金の意味や返済方法、自社の返済可能額や、銀行交渉の仕方とかを一緒に考えていこうと思います。 

 

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