キャッシュフロー入門編2・・・企業活動で必要な資金と銀行借入(短期資金:中編)

皆様、お元気ですか?
ずいぶん肌寒くなってきましたが、風邪などひいていませんか?
全国の中小企業の倒産件数も、ようやく数ヶ月連続して、対前年割れをしており、ようやく景気の回復の兆しが見え始めた(かもしれない)今日この頃・・・今週も張り切って、参りましょう!

前回は、企業活動で必要な、短期借入金の種類を簡単に解説してみました。

◆今回は、まず、自分の会社の経常運転資金額を計算してみましょう!

それでは、代表的な場合として、簡単に、自社の経常運転資金の額を計算してみましょう。
既に何度か述べましたが、もう一度簡単にいうと、計算式は以下の通りです。

(経常運転資金)=(売掛債権滞留分)+(在庫維持資金)-(買掛債務留保分)

次に、それぞれの簡単な解説と金額の出し方に移ります。

◆まずは、売掛債権を計算しましょう。

<売掛債権滞留分>基本的に売上代金の内、まだもらっていないお金の合計額です。主な勘定科目では「売掛金」と「受取手形」となります。

 従って、(売掛債権)=(売掛金)+(受取手形) です。

 仮にA社の売上高             300万円/月、
 売掛金の平均サイト(期間)・・(注1)  2ヶ月、
 売掛金の受取比率・・(注2)       現金50%、手形50%、
 平均手形サイト(期間)          3ヶ月、   とすると・・・

 注1:売掛金平均サイト=商品を売って、代金を現金でもらう迄の平均期間
 
 注2:売掛金受取比率=代金を期日にもらう時の、何でもらうかの比率。上記は半分を現金、半分を手形でもらう場合。(世間でよく言う半金半手)

 売掛金=300万円(平均月商)×2ヶ月(平均売掛サイト)=600万円

 受取手形=300万円×50%(手形比率)×3ヶ月(平均手形サイト) =450万円

 つまり、売掛債権=600万円+450万円=1050万円となります。

◆次に、在庫維持資金の計算です。

<在庫維持資金>これは、ずばり、在庫の金額そのものになります。主な勘定科目で言うと、商品、仕掛品、原材料などです。

これらのものは、売れて現金になるまでは、会社にただで眠っているわけですから、置けば置くほど、その分資金負担は増すばかりです。
よもやその事を考えず、山のような商品ストックを見て、満足していませんか?
 
 仮にA社の仕入高       200万円/月、 
 商品回転サイト・・(注3)  3ヶ月、     とすると・・・

 注3:商品回転サイト=商品を仕入れてから、売れる迄の平均期間。

 在庫維持資金=200万円(月仕入)×3ヶ月=600万円です。

◆最後に、買掛債務の計算です。

<買掛債務留保分>仕入代金の内、まだ支払っていないお金の合計額です。主な勘定科目は、買掛金、支払手形です。

つまり、(買掛債務)=(買掛金)+(支払手形)です。

仮にA社の仕入高          200万円/月、  
買掛金の平均サイト・・(注4)   1.5ヶ月、
買掛金の支払比率・・(注5)    現金 40%、手形60%
平均手形サイト(期間)       2ヶ月、     とすると・・・

注4:買掛金平均サイト=商品を買ってから代金を現金で支払う迄の平均期間

注5:買掛金支払比率=仕入代金を期日に支払う時に、何で支払うかの比率
上記の場合は、40%を現金で、残り60%を手形で支払う場合です。

買掛金=200万円(月仕入)×1.5ヶ月(買掛サイト)=300万円

支払手形=200万円×60%(手形比率)×2ヶ月(平均手形サイト)=240万円

よって、買掛債務=300万円+240万円=540万円 となります。

◆つまり、全部まとめると、こうなります。

上記の計算をもう一度、簡単にまとめます。即ち、A社の経常運転資金の総額は、

・待ってあげている金額=1050万円
 (内売掛金600万、受取手形450万)

・在庫維持の為の金額=600万円

・待ってもらっている金額=540万円
 (内買掛金300万円、支払手形240万円)

総合すると、
1050万+600万円-540万円=1110万円が、答えです。

即ち、A社は、手元資金が、0からのスタートだとすると、今の商売内容では、
常に、平均1110万円の経常運転資金が、必要になってくるという事です。

◆それでは、この運転資金を少なくする方法はあるの?

これは、次週のお楽しみに致しましょう。来週は、この運転資金を意識して少なくして銀行借入金を減らす方法について、考えてみましょう。

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