生産性を上げるために【今日から実践!基本からの生産管理・第2回】

前回は、生産工場の悩みについて考えてみました。
今回は、生産性を上げることを考えてみましょう。

 

生産性とは

「生産性」とは、投入量と産出量の比率で、それによって生産現場の効率を表すことができます。
投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高くなります。
一般的には、従業者数を投入量とし、生産数量(または金額)を産出量として測った「労働生産性」を指します。

しかし、パート作業者さんが多い現場や残業が多い現場、掛け持ちでいろいろな仕事をする方の多い現場では、従業者数を用いると正確に評価できませんから、投入量に作業時間を用いて生産性を確認すると良いでしょう。

つまり、
生産性=「生産量(または金額)」/「作業時間」
ということになります。

 

生産性を上げる方法

では、生産性を上げるためにはどうしたら良いでしょうか。

生産性を上げるためには、産出量を上げるか、投入量(作業時間)を減らすしかありません。
売上が伸びている時期は、投入量の増加を抑えながら産出量を増やせば、生産性は向上します。

しかし、売上が伸びない時はどうすれば良いのでしょうか。
工場の生産量は、お客様からの注文量によって決まりますから、必要以上に製品を生産しても無駄になるだけです。
この場合は、生産性を上げるためには作業時間を減らすしかないのです。
具体的に生産性を上げるための手順について考えてみましょう。

(1)現在の生産性を確認してみましょう。
みなさんの職場が工場であれば、月間や週間の生産数は把握されているはずですし、作業時間も記録されているはずです。
まずは、現在の生産性を確認してみましょう。産出量は、生産数量でも良いし、生産金額でもかまいません。現状を把握することが大切です。

そして、可能であれば、過去との対比をしてみましょう。どうでしょうか、生産性は上がっていますか?
このように生産性に関心を持つことが生産性を上げる第一歩です。

(2)作業の内容を見直してみましょう。
現在の生産性が分かれば、それを上げる方法を考えましょう。

今回は、需要が一定だと仮定して考えます。
そうすると、生産性を上げるためには作業時間の短縮が必要になりますね。
とはいっても、急いで手を動かしましょうとか、走って移動しましょうということではありません。

作業の中身をチェックして、価値を生まない間接作業の削減を考えましょう。
間接作業とは、段取りや運搬、積み替え、手待ちなどで、それ自体は価値を持たない作業のことです。
原材料への加工や塗装などは製品に価値をつける作業ですが、工場内での運搬は生産上の都合で行っているだけで、製品への付加価値は生みません。

ですから、いつも何気なく行っているすべての作業を良く見て、価値を生まない作業をリストアップしてみるのです。
でも、これはとても難しいことです。
なぜなら、働いている人で、自分が今やっている作業を価値が無いと思って行っている人はいるはずがないからです。

作業時間の短縮に取り組むためには、冷静にその作業は必要か、もっと短縮できないか、という視点で見ることが大切です。
無駄な作業が見つかっても、いろいろな制約条件のもとで生産を行っている訳ですから、すべてを無くすことはできないでしょう。

何を減らせるか、どうやったら作業時間が短くなるか、みんなで検討してみましょう。
少しでも間接作業を無くすことが出来れば、確実に生産性が上がっているはずです。

次回は、この考え方で生産性を倍にした工場の取り組みをご紹介します。

次回コラム

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この記事の執筆者

澤田 兼一郎
(株式会社みどり合同経営 代表取締役/中小企業診断士)

立命館大学経済学部経済学科卒業、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。
特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

この記事のアドバイザー

阿部 守 先生
(MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 )

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