外注管理で大切なこと【今日から実践!基本からの生産管理・第11回】

前回は、生産計画の立て方を改善して在庫を減らしたA社の事例をご紹介しました。
今回は、外注管理で大切なことを考えてみましょう。

 

外注とは

大企業はもちろんのこと、中小企業でも多くの会社が、工程の一部や大部分を他の会社に依存する形で経営を行っています。
発注する側が外注先に「このようなものを作って欲しい」と依頼して、その要求に応えて物品が納入されます。
一回の取引で終わることはまれで、繰り返して取引が継続されることが一般的です。
製造工場だけでなく、商業やサービス業でも外注は利用されています。

 

外注利用の目的

ではなぜ、自社で全ての工程を行わずに、外注を利用するのでしょうか。
それには、いくつかの理由があります。

(1)生産コストを安くするため(中小企業に単純作業を委託する場合など)
(2)自社にない設備や能力を利用するため(メッキの外注など)
(3)社内の能力と負荷の調整弁とするため(季節的に需要変動が大きい場合など)
などが主な理由です。

 

外注管理の注意点

このような目的で、外注を利用しているのですから、外注先とは対等なパートナーであり、自社工程の延長である、という意識で接することが大切です。
ところが、発注者の中には、発注する側の立場を利用して、自社の都合を無理に押しつける会社があります。
また、長年の取引があるということだけで、客観的な品質評価や価格の見直しを行わずに、取引を継続している会社もあります。

 

外注管理のポイント

外注管理において大切なのは、取引関係を一歩超えた信頼関係を築くことです。
その上で、生産管理と同様に「Q:品質、C:コスト、D:納期」の視点を大切にすることです。
外注先と協力して、QCDのレベルを上げるようにします。

これが、「自社工程の延長」という考え方です。

具体的には、以下のようなことです。
(1)外注先のコスト削減や品質向上に関して指導・協力する。
(2)生産計画を早めに伝えるなど、外注先が生産性を高められるように協力する。
(3)材料支給を行っている場合は、きちんと品質管理を行った材料を支給する。

そして、外注工程に起因する品質不良が出た場合には、外注先だけに責任を求めるのではなく、一緒に原因究明と解決に取り組むといったことが大切です。

このような積み重ねが、外注先との信頼関係を築くことにつながり、外注先のQCDのレベルを上げることにつながります。そして、発注者にも利益をもたらすことになるのです。

次回は、外注先の協力体制を構築してクレームを減らした会社の事例をご紹介します。

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この記事の執筆者

澤田 兼一郎
(株式会社みどり合同経営 代表取締役/中小企業診断士)

立命館大学経済学部経済学科卒業、第二地方銀行を経て当社に入社。中小企業を中心に、経営計画や事業計画の実行性を高める、現場主義のコンサルティングを実施。
特に中小建設業、製造業の経営管理体制の構築、実行力を高めていく組織再構築等のノウハウ等について評価を受ける。

犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)

一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。

この記事のアドバイザー

阿部 守 先生
(MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 )

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