中小製造業のお手伝いをさせていただき日々感じることは、多くの経営者の方々が原価管理にとても苦労されているということです。
多くの場合、中小企業の経営者の方の意識は、ある製品の製造にいくらかかるのかを把握したい!という原価の計算部分にあるように思います。
しかし、広い意味での原価管理には、
①製品の製造に必要な原価の把握(原価計算)
②「このコストでできるはず」という理論値との比較(狭義の原価管理)
③製品の企画・開発段階からのコストダウン施策の折り込み活動(原価企画)
という3つの段階があります。
価格競争の厳しい業界で利益を確保するには、この「原価企画」という考え方をどれだけ会社に根付かせることができるかどうかが重要になります。
一部の担当者のみが原価を把握したり、コストダウンの施策を立案するのではなく、実際に製品の企画・設計を行う社員や現場でモノづくりを行う社員の意識が揃って初めて、原価管理の目的であるコスト競争力の向上が図られるからです。
原価企画を会社の活動として根付かせるためには、その前段階である原価計算や狭義の原価管理の体制を構築することが必要であると同時に、それらが全従業員のコスト意識を高め、採算計画を共有させるものでなくてはなりません。
本シリーズでは、原価企画によるコスト競争力の向上を最終目的とした原価管理について、各段階でのポイントを考えていきたいと思います。
次回は原価計算について解説いたします。
この記事の執筆者
犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営 取締役/中小企業診断士)
一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。
この記事の執筆者
犬飼 あゆみ
(株式会社みどり合同経営
取締役
中小企業診断士)
一橋大学法学部卒業、大手自動車会社のバイヤー(部品調達)として勤務後、当社へ入社。
企業評価における事業DDのスペシャリスト。事業DDでの経営課題の洗い出しをもとに、事業計画や経営計画(利益計画&行動計画)の策定・実行支援が専門分野。