「意識」のリストラクチャリング8

「意識改革」のアプローチ「聞く」→「理解」→「気づき」の「聞く」と「理解」まで考えてきました。最終段階「気づき」について考えていきましょう。

前にも例でお話しましたが、「友人が目の前ではねられて、はじめて飛び出すことをしなくなった」や「様々なアクションプランを管理資料に基づいて計画、実行、一件の赤字工事が黒字工事になった」などの具体的経験をすることにより、「理解」→「気づき」に変化し、以後の行動が自主的になっていくと。それでは、「理解」→「気づき」へと導く具体的経験について詳しく考えてみます。
 
先に「気づき」へと導く具体的経験の条件について列記しますと、
(1)自身の行動に基づいての結果である。
(2)理解の上での行動である。
(3)全体の目的と行動が常に結びついている。
のとおりです。あくまで、個人的な見解であることはご了承ください。

まず、「(1)自身の行動に基づいての結果である。」と「(2)理解の上での行動である。」について。

先も言いましたが、受注工事業では一件の赤字工事が黒字工事になる経験が、具体的経験になります。ここで重要な点は、本人が理解した上で行動し結果が出たことです。つまり、本人が無理やりやらされた上で結果が出ても「気づき」にはならないということです。当たり前のことです。無理やりやらされている時の気持ちを想像して頂ければ分かると思います。結果として出てきたことから何かを知ろうとする、心の準備はできていないわけですから、「気づく」ことはあり得ません。
また、自身の行動に基づいたものでなければ意味がありません。いくら自転車の乗り方を机上、言葉で教わって理解しても、自転車の乗り方のコツに「気づく」人はあまりいません。もちろん、他人が乗っているのを見て、自転車の乗り方のコツに「気づく」人もあまりいません。つまり、いつまでたっても自身が行動しないとコツを「気づく」ことはなかなか出来ないわけです。
余談ですが、この時に外部のコンサルタントとしてどうすべきであるかというと、行動に伴う改善結果がリアルタイムで「数値」で誰が見てもわかるようにしておくことです。そして、その結果を単純明快に示すことです。行動に伴う結果が時間がたって出てきても、行動自体を忘れてしまいますから、「気づき」の機会を損失してしまうのです。

次に、「全体の目的と行動が結びついている。」について。

お手伝いさせて頂いている従業員様から、「私自身のしている仕事の目的が分かって楽しくなった」という言葉を頂戴したことがあります。このことからも分かるとおり、自身の仕事つまり行動が、組織全体にどのような意味があり、貢献をしているのかが分からなければ、人は心を閉ざしてしまうのです。楽しくないのです。つまり、一つ一つの行動には目的があることを常に意識してもらうことが重要です。逆に目的と結びつかない行動は組織とってはムダなものということになります。

以上「気づき」について考えてきました。ここまで来てはじめて「意識改革」と言えると思われます。それでは次回「意識」のリストラクチャリングについて、まとめて最終章とします。 

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