受注工事業を参考に、必要「管理」について考えています。(1)将来の管理の(イ)ランク別受注予定表について、前回考えてみました。今回は、(ロ)資金繰り予定表について考えていくことにしましょう。
(ロ)資金繰り予定表について。
前回もお話したとおり、「資金繰り」は企業にとって一番重要なポイントになります。しかしながら、資金繰り予定表をある程度正確に毎月更新できている中小企業は非常に少ないのではないでしょうか?私の経験からもほとんどの会社で、資金繰りの予定が狂うことは日常茶飯事です。しかしながら、会社とって一番重要な資金繰りが、狂うのはなぜでしょうか。
資金繰りが予定と毎月毎月狂ってしまう企業の経営者に良くする質問があります。それは、「資金繰りは誰が作成しているのですか?」です。決まって返ってくる答えは、「私です」とか「経理担当者です」という答えです。お分かりと思いますが、「経営者」や「経理担当者」だけで作成するから狂うのです。
受注工事業において、私どもがお勧めしているのは、工事別/担当者別の回収予定表から資金繰り予定表を作成していくものです。資金繰りが狂う要素としては、大きく二つあると思われます。売上回収と外注費の支払いです。当たり前ですが、回収予定が少なくなり、支払い予定が多くなるから資金繰りが狂うわけです。ということは、回収と支払いを実務的に担っている担当者に予定を立ててもらうのが非常に有効になります。
ここで、支払いに関する担当者別予定表を作成しないのは、実は(1)将来の管理の次の(2)リアルタイムの管理の中で、個別工事ごとの管理をしていく中で掴めるようにしていくからです。予断ですが、中小企業の場合2重の業務をする余裕はありませんから、この辺りも管理を効率的にすすめていくポイントです。
話をもどします。このように回収を担当者別に予定を立ててもらうというお話をしますと、必ず「それはしているが狂うのです。」と反論があります。問題は、どのように予定を立てているかです。つまり、全体で目的を共有し、結果をチェックできる仕組みが落とせるかどうかになります。具体的に言いますと、資金回収を早くすることの目的は、本来の会社の儲かるという目的に直結していることを共有し、予定していた回収がずれたことによって、会社がどうなったのかを目に見えるように定期的に説明、共有することです。その状態で予定を立てられれば、かなり精度の高い「資金繰り予定表」ができるはずです。
次回は(2)リアルタイムの管理について考えていくことにします。