「管理」は3つの視点で考えることが重要ではないかというお話を前回しました。
(1) 将来の管理
(2) リアルタイムの管理
(3) 過去の管理
それでは受注工事業を参考に、どういった管理をしていくべきなのか、具体例を見ていくことにしましょう。
(1)将来の管理について。
将来の管理とは、今後の予測を把握していくことです。まず、資料として必要なものとして、
(イ)ランク別受注予定表
(ロ)資金繰り予定表
が考えられるのではないでしょうか。
まず、(イ)ランク別受注予定表について。
私どもがお勧めしているのは、ABCランクに分けて、すべての見込み工事を一覧にして管理する方法。お手伝いする会社の文化によりABCランクの受注率は違いますが、各見込み工事をABCランク別に分け、受注率を掛けて全体の受注予測を立てていくものです。実践されている会社も多いと思いますが、一つ私どもがお勧めしているのが、「資金回収ベース」で受注予測を立てるというものです。
なぜ資金回収ベースで予測をたてる必要があるのでしょうか。ほとんどの会社の従業員の方の管理意識に、「資金回収ベース」の予測は入っていません。それを示すいい例に、経理担当や経営者以外に、主たる受注先(例えば大手ゼネコンなど)の入金日を質問して答えられる営業、工務担当の方はほとんどいません。
今更いうまでもなく、会社にとって一番重要なことは、「資金繰り」になります。いくら売上が上がろうとも「銭」足らずでは、会社は倒産です。ですから、資金回収について従業員全員が意識を持つことは非常に重要になるわけです。不思議なことに、資金回収ベースで予測を立てることで、受注予測自体も精度が増しますし、後で説明します、資金繰り予定表に記載します、受注予定からの長期的な資金繰り予定への移行が非常にスムーズいくというメリットも出ています。
また、一覧にして管理することで、全体の仕事の段取りも予測できることも重要です。受注工事業という業種柄、仕事が平均的に受注できるわけでなく、波があります。波を事前に掴んでいるのといないのでは、工務の担当者にとっては天と地の差です。言うまでもなく、厳しい予算の工事が多い今の時代は、段取りの差が一件の工事において黒字になるのか赤字になるのかを決める大きな要因になりますから。
次回は、(ロ)資金繰り予定表について考えていくことにします。