受注工事を参考に、必要管理について考えています。今回も引き続き「過去の管理」について考えていくことにします。
試算表を価値あるものにする為には、
(1) スピードがあり
(2) 比べる対象があり
(3) 分かりやすいこと
の3つの条件が揃うことが必要で、(1)スピードがありについて前回説明しました。
それでは、(2)比べる対象がありについて説明します。
「比べる対象があり」とは、出てきた試算表は比較対照しなければ、どのような状態か正確に把握できないということです。
昨年対比や業界他社比較などは一般的です。私どもでも、過去の実績や業界他社の黒字企業平均値と比較し、企業の長所や短所、動向変化等を分析しています。
しかしそれだけでは実は不十分です。
私は良く次のような質問を中小企業の経営者や従業員の方にします。「会社はどうなると、倒産しますか?」と。この質問に明確の答えを、経営者の方はほとんど答えられますが、従業員の方はほとんどいません。答えは当たり前、お金がなくなると倒産するのです。どんなに赤字でもお金があれば倒産しませんし、どんなに黒字でもお金がなければ倒産します。
つまり、資金繰りを加味した予算と月ごとに対比する資料が必要になるのです。一般的には、予算と呼ばれるものです。ただし、今年は前年の売上から10%増しを目標としようという予算では未完成です。その年にいくらの資金が必要になるのかから、逆算した検証も含めて完成です。
もう少し詳しく言えば、減価償却費+税引後当期利益の以内に、キャッシュアウトが収まるような予算が必要ということです。概ねキャッシュアウトの項目と言えば、長期借入金の毎月返済元金や新たな設備投資に伴う追加の減価償却費などになります。
そのような、キャッシュフローを重視した予算との比較をして、試算表の価値はより一層あがるのです。