受注工事業を参考に、必要「管理」について考えています。今回は、(2)リアルタイムの管理について考えていくことにしましょう。
「管理」のリストラクチャリング1でもお話しましたが、リアルタイムとは、会社のポイントとなる数値をいつでも目にすることができることです。もちろん、中小企業にとって様々な経営上の数値をリアルタイムで管理することができるに越したことはありません。ある程度余裕のある企業つまり、人材、時間、資金に余裕があるなら、経営上必要な様々な数値をリアルタイムの管理にすることは可能です。しかしながら、現実の中小企業が置かれている環境は、人材、時間、資金に余裕がある会社なほとんどないと言えます。ですから、リアルタイムに管理をする数値を絞る必要があるわけです。
それでは、リアルタイムの管理の必要性とどの数値を管理すればいいのか、受注工事業で具体的に考えてみましょう。
受注工事業における管理のポイントは、一件の工事毎の管理を徹底することにあります。至極当たり前のことで、一件、一件の工事が赤字にならなければ、会社全体として黒字になる可能性が非常に高くなります。ですから、一件の工事をどのように管理していけば赤字にならないのかを考えていけば良いわけです。
今までお手伝いさせていただいている受注工事業のほとんどが次のような管理をされています。実行予算と工事台帳の管理です。実行予算とは、受注が決定した工事が始まる前に、工種毎にいくらで工事をするのかを事前に作成する予算です。工事台帳とは、工事が終了した時点で最終工事が実行予算どおりにいったのか、結果をまとめたものです。つまり、将来の管理と過去の管理はできているわけです。もちろんその管理さえできていない会社もございますが。
しかしながら、この管理だけで赤字工事の発生の予防が可能でしょうか。先に言いましたとおり、受注工事業における管理のポイントは、一件ごとの工事の管理をすることです。黒字工事の積み重ねが、業績向上のポイントになるのです。ですから、リアルタイムで工事を一件毎に管理していくことが絶対になってきます。
リアルタイムの管理を構築する必要が理解していただけたと思います。しかし問題があります。特に業績の悪化した中小企業には余裕がありません。今いる人材でリアルタイム管理をする仕組みを構築しなければなりません。では、次回は具体的にどの数値を利用して、受注工事業ではリアルタイムの管理をしていくのか考えていくことにします。