皆様こんにちは。
前回、前々回と、金属プレス加工メーカーのA社の問題点をお話してきました。
そして、そこから発生する様々なトラブルに、社長が何とか対応して事を収めており、会社が社長依存の体質になってしまっている点をお話しました。
このように、社長に依存するようになってしまったのは、従業員が顧客と接する機会が少なく、顧客思考でないことが大きな要因になっていると思います。
「はじめに」の回でお話した通り、顧客思考でないと、お客様のニーズがわからず、どのように問題を解決したらよいのかわからないため、自分で問題解決ができず、細かな意思決定をも社長に依存するようになってしまいます。
いえ反対に、いつも社長に依存することで、しだいに顧客思考でなくなってしまったのかもしれません。このあたりは卵が先か、鶏が先かの話ですね・・・
いずれにせよ、このようになってしまったのは、もちろん社長にも原因があると思っています。
業務部長と経理部長の会話の中からも、そんな声が聞かれます。
「社長のカリスマ性が強すぎるのが影響しているんだろうね。社長は従業員よりずっと先を見ている。社長に聞けば、何でもすぐに答えが返ってくるというのが仇になっているんじゃないかな。社長自身も、意図的にカリスマ性を作ってきたというところはあるだろうな。」
「カリスマ性が強いことで、社長を責めるのは酷だと思うけど、それでも社長がもっと従業員に任せていかないといけないだろうね。みんな、権限も責任もないから楽だけど、本当は任されれば、もっとやる気のでる人もいると思うな。」
業務部長と経理部長のお二人は、社長が絶大な信頼を置く存在です。それは、お二人が特別に優秀だということもありますが、社長の得意分野と違う分野のスペシャリストだからということもあるかもしれません。
つまり、経理など、自分があまり得意でない分野であれば、社長も人に任せますが、自分の得意分野である営業や技術面では、なかなか人に任せられない。そんな経験は誰にでもあることかもしれません。
従業員数が十数名の御会社であれば、経営者の強いリーダーシップで組織を引っ張るということで、特に問題ないのだと思います。しかし、A社は従業員約50名。
得意先も、自動車関連、家電関連、医療関連・・・と多岐にわたります。
このように、従業員数も得意先の数も拡大していくと、それに応じた組織のステージに移行していくことが必要になります。
「社長はずっと先を見て行動している」、「社長は、なぜかお客さんから仕事を受注してくる」といった暗黙知を、目に見える形にして、組織的に行っていく必要があると思うのです。
次回からは、A社の組織作りに向けた取り組みについて、お話したいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門 副部長
シニアコンサルタント 澤田 兼一郎
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みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
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