コラム 「製造業の社内活性化のプロセス  ~脱社長依存体質!~」 第6回 A社の組織作りに向けた取り組みついて

皆様こんにちは。

前回は、社長依存となっているA社(金属プレス加工)の事例において、何でも社長が問題解決をしてしまうのではなく、従業員が自主的に考えて行動していく組織づくりの必要性についてお話しました。

 

もちろん社長ご自身も、以前から「どうして従業員は、自分で考えて動いてくれないのかなー」とか「なんで自分の指示がないと、仕事が廻らないのかなー」という気持ちを強くお持ちでした。

しかしながら、社長のカリスマ性が仇になっていたのは、前回お話したとおりです。

 

そこで我々は、社長や業務部長、経理部長と相談し、課長クラスを中心にプロジェクトチームを作って、お客様や自分達の会社のことをじっくり考える機会をもち、現状認識ひいては、問題意識を高めいくことをやってみようということになりました。

 

少し余談になりますが、問題点を共有していくことで、行動計画、最終的には経営計画を策定していくことを目標にしています(経営計画は、数値計画とそれを達成するための行動計画から構成されます)。

 

さて、メンバーは、業務部長と経理部長にも入っていただきましたが、あくまでも中心メンバーはS課長(量産)およびT課長(試作)とし、そのほか生産計画や検査を担当している主任クラス数名にも参加してもらいました。

 

プロジェクトの第1ステップは、社内の課題抽出です。これにあたり、まずは社内の業務活動を、業務の流れをベースに、試作(技術営業)⇒仕入⇒量産⇒営業という4つの活動に大まかに区切りました。

 

そして、活動ごとに求められる役割と現状の実態(強みや問題点)を話し合いました。

A社で特に意識したことは、活動ごとの分析も重要ではありますが、同時に全体の流れを見ていくことも大事だということです。

たとえば、「試作」では、よい試作品を作ることのみならず、その後の「量産」をスムーズに立ち上げるという観点からも見ていく必要があります。

試作品は一品物ですから、とりあえず時間やコストをかければ、図面通りに仕上げることはできます。
しかし、量産になると、そうもいきません。

 

そこで、顧客から提示された図面に対し、「これは絶対に守ってもらわないと困るが、これはどっちでもいい」というような顧客の本音を確認した上で、製造の造りやすさを図面に織り込んでもらえるように提案する。

その上で、試作品を供給するというのが、「試作」に求められる役割だろうという話になりました。
「試作は良かったが、量産でトラブル続き・・・」という現状を、見直していこうということです。

 

次回からは、このような切り口で、プロジェクトメンバーが抽出していったA社の課題について、お話していきたいと思います。

みどり合同経営 コンサルティング部門 副部長
シニアコンサルタント 澤田 兼一郎
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みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
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