皆様こんにちは。本当に毎日暑いですね。
「夏はやっぱり海!」ということで、今回は海にまつわる事例をご紹介させていただきます。
場所は九州北西部の伊万里湾。長崎県と佐賀県の県境に存在するこの湾では、穏やかな海況を利用し、昔からフグやハマチ、マダイなど、様々な魚類養殖が盛んです。
しかし、他産地と同様、長年の養殖給餌による有機物の堆積や河川からの生活排水の流入などにより、漁業環境は急速に悪化しています。近年では、稚魚を放出しても育たないなど、養殖漁場の生産力が大きく低下しつつありました。
また、海底の堆積物は、魚病や赤潮を引き起こす要因の1つとなり、漁業に甚大な損害を与えることから、一刻も早い海域環境の改善が叫ばれてきました。
これに対し、かねてより漁業関係者が行っている底質改良剤では抜本的な解決策にはならず、また、既存の処理工法では、有害物除去時の二次汚染や、除去した土砂・余水の処理コスト等で問題解決が困難でした。そのため、伊万里の
漁業組合では、これらの問題をどのようにクリアするか、長年、頭を悩ませてきました。
一方、建設産業もこの地域の主要産業の1つですが、公共工事の縮小等により、機械や作業船の保有、人員の雇用維持がきわめて難しい状況となっていました。
そこで、本事業は、建設企業と漁業者とが連携しつつ、既存の機材やノウハウ等を活用することで、低コストで周辺環境へ悪影響を及ぼさない堆積物除去技術の開発を行い、伊万里湾及び周辺海域の漁場再生をしようと発案されたものです。
取組内容は、(1)伊万里湾海底の底質調査・分析(事前調査)、(2)新工法での海底汚泥の試行的除去、(3)試行結果の観測・分析による最適工法の確立という流れで進められました。
伊万里湾は長崎および佐賀の2県にまたがっているため、本事業では両県から構成員が集まり、具体的実施者である建設企業も両県から2社ずつ参加しています。
個々の企業では資金的にも能力的にも限界がありますが、複数の企業や行政、各種団体が連携し、広域的に行うことで、とても大きな効果が生まれるということが感じられる事例になっていると思います。
詳細は、また次回お話させていただきたいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/