コラム 「ロングトレイルを活用した自然体験型観光に建設業が挑戦~北海道東十勝 その2」

皆様こんにちは。前回から北海道東十勝地方での、建設業による自然体験型観光への取り組みについてご紹介しております。

 

前回少しお話させていただいた通り、本事業における建設業の役割は、ロングトレイルのルート検討およびメンテナンス、宿泊施設の確保(廃校舎や古民家のリニューアル)、来訪者に対するガイドなど、本業における技術の活用もさることながら、「地元に詳しい」という地域密着の建設業者ならではの強みを活かした取り組みとなっています。

 

本事業では、参加者を公募してのモニターツアーが実施されました。川のルート、森のルート、海のルートに分かれた計3回のツアーに、それぞれ約20名の参加者が集いました。モニターツアーでは、参加者にアンケートでルートや宿泊施設、来訪者に対するサポートシステム(ガイド、セキュリティー等)の課題を出してもらい、その後、課題に対する解決の方策が検討されました。

 

モニターツアーでは、地域資源をトレイルするというだけでなく、地域のNPO法人が企画した主婦たちによる「そば打ち」や、地元企業が地元のなたね油で揚げた天ぷらを提供するなど、ツアーを盛り上げる様々な工夫が凝らされていました。また、日本野鳥の会十勝支部との高いコラボレーションも見られました。その結果、観光客だけでなく、地元の人がツアーに参加しても、大変楽しめるものだったといいます。

 

アンケートでは、たとえば、川のルートの参加者は、「冬に河口付近に来たことがなかったので、その美しさに驚いた」とか、森のルートの参加者は、「炭坑や坑道は一人では来られない場所なので、今回のツアーがなければ来ることも知ることもできなかった」と大変感動した様子がうかがえました。

 

建設業による新分野進出のうち、観光ビジネスに参入するケースは比較的多いようです。地元の魅力を熟知したうえで、「歩く」という新しい旅のスタイルを普及していった本取り組みは、その中でも先進事例だと思っています。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/