前回から、広島県の備後地方において、建設業が中心となって地元の備後いぐさのリノベーションを図っているという事例をお届しています。
この「リノベーション」とは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更したり価値を高めたりすることをいう建築用語ですが、本事業では、備後いぐさの用途や機能・性能の向上、そして元来よりもっている備後いぐさの価値をさらに高めたいという志をもって「備後いぐさリノベーション事業」と命名したとのことです。
この事業に建設業が取組む意義としては、建設業のマンパワー、建設機械、作業工程効率化のノウハウや新しい発想力を利用することで、いぐさを使った伝統文化の継承だけでなく、建設業ならびに地域の活性化、雇用創出を図れるということです。農業から建設の素材を考える等の、相乗効果もあるものと思います。
この事例で、建設業は従来農業従事者が苦手であることを補完できるということが、色々と見えてきました。例えば、前回お話させていただいたように、いぐさの栽培は非常に過酷な作業となりますが、建設会社では暑さや雨をしのぐテント等の仮設施設を作れるため、これを多少は軽減しています。
また、農業従事者は軽トラが中心であり非効率な面が多々ありましたが、建設業は大型トラックを有しており、効率的に作業ができたという点もあります。
さらには、農家では農機具の事故や溝に落ちた・手を切った等の事故が多くみられますが、建設業は安全管理が得意です。
ちなみに私は、子供が生まれてから、畳のよさを再認識しました。畳に布団を敷いて寝れば、子供がベッドから落ちる心配もないし、遊んでいてひっくり返ってもあまり痛くないし、吸音効果で下の階にも響きにくいです。そんな日本のいぐさが、建設業によってリノベーションされつつあるということに個人的に感動しました。
また、この事業では、いぐさの畳表としての利用のほかに、学校などでポスター等の掲示用として利用する「いぐさボード」や、体に有益ないぐさの特徴を活かした食品・薬品など、新たな商品の開発もされています。今後、どのような新商品が出てくるのか、とても楽しみです。
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もうご確認されましたか?国交省の「建設企業の連携によるフロンティア事業」
現在のメルマガでは、国交省による「建設業と地域の元気回復助成事業」に採択された取組み事例をお届けしておりますが、本事業は2010年度末で2年間の事業期間が終了します。そこで国交省はこのほど「建設企業の連携によるフロン
ティア事業」を実施することを決定し、対象となる事業を2月28日まで募集中とのことです。この事業は、建設企業が連携の強化を図り、技能者等を新規に雇用することにより、維持管理、エコ建築、耐震、リフォーム等の成長が見込まれる市場の開拓を図る事業で、かつ新規性の高いものを支援するというもの。
うちもそういった取組みを・・・とお考えでしたら、国交省のホームページで詳細をチェックした上で、近隣の地方整備局(開発局)にご相談してみたらいかがでしょうか。
<http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo14_hh_000180.html>
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みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/