専門工事業D社では、実行予算管理から支払業務までを建設業特有の工事原価管理に対応した専用のソフトウェア(以下ソフトウェア)の導入を行い効率化することにしました。前回はソフトウェアの選定の為にデモンストレーション(以下デモ)を実施してもらい、ソフトウェア毎にポイントを一覧表に整理したところまでお話しました。今回は、この一覧表を元に選定メンバーで検討した内容をお話致します。
【10.ソフトウェア選定のポイント その5】
ソフトウェア選定メンバーの3名は、選定ポイントについて3社のソフトウェアを比較した一覧表(前回のメルマガをご参照ください。⇒http://ct.mgrp.jp/column/page/p_001163.html)を見ながらどの会社のソフトウェアを選定するか話し合いを始めました。
(※デモに参加した3名とは、総務部の現在支払い業務を担当しているベテランの遠藤さん、若手でPC操作が得意な中村さん、工務部の優秀な若手で少し大人しい本田君です。)
中村さん「3社とも基本的な機能面では変わりない、会計ソフトとの連動なども可能となっている。
私は業界大手のA社が安心だわ。」
遠藤さん「私も中村さんに賛成。C社も営業マンは熱心でデモも良かったけど、本社が当社と離れた県なので
何かトラブルがあった時が心配。」
本田君 「僕はB社がいいな。実行予算の入力時に過去の単価が確認できるところや、
帳票の形式を自分たちで変更できるのが気に入っている。B社の営業マンは、
個性的だけど建設業界にすごく詳しいし、できないことはできないとはっきりと言ってくれる。」
中村さん「機能面では、3社とも遜色ない。しかしC社はマイナーな企業であり、
当社から遠いこともあり、サポート面での不安があると思うので候補から外しますね。
後はコスト面ですね。それでは、A社B社の見積を取ってから再検討することにしましょう。」
・・・数日後・・・
中村さん「見積が届いたけど、A社は予算オーバーだわ!どうしてB社はA社より安いのかしら?」
本田君 「A社の価格体系は、ソフトウェアのクライアント本数(利用PC毎)で決まっていて、
本数が多くなると割安になるんだ。B社の価格体系はソフトウェアの最大同時利用台数で計算され、
その上必要な機能だけを選んで購入できるようになっていて、当社の利用の形態で計算すると、
A社より割安になったんだよ。」
中村さん「それじゃあ、B社のソフトウェアに決定ということで総務部長と工務部長に報告しましょう。」
これまで、D社のソフトウェア選定について5回に渡り連載させて頂きました。少しくどくなりましたが、ソフトウェア選定の3つのポイントを念頭に選定して欲しいということです。
<ソフトウェア選定の3つのポイント>
(1)本当に自社の業務に合ったソフトですか?
(2)信用できるソフトメーカーですか?導入時の指導はもちろん、サポート体制がしっかりしていますか?
(3)将来的な拡張性・柔軟性はありますか?他システムとうまく連携はとれますか?
D社では、色々なソフトウェアの情報を収集し、上記のポイントを検証しながら3つのソフトウェアまで絞り込み、最後は実際にデモを見て、コスト面を比較し決定しました。
余談になりますが、ソフトウェアの選定となるとやはり気になるのはコスト面ですね。どの企業様も費用対効果が気になります。しかしコスト(費用)面だけを重視して決めてしまうと後々後悔することになりかねません。ソフトウェア選定には充分な情報収集(デモを含め)、検討はもちろんのこと、ソフトウェア選定の3つのポイントを念頭に進めて頂きたいと思います。
次回からは、実際のソフトウェア導入から運用までのお話をしたいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/