専門工事業D社では、すでに建設業専用の会計ソフトウェアを導入されており、支払業務の効率化を図るためには、建設業特有の工事原価管理に対応した専用のパッケージソフトウェア(以下、工事原価管理ソフト)の利用が重要ということを前回お話致しました。今回は、この建設業専用の「工事原価管理ソフト」の選定についてお話致します。
【7ソフトウェア選定のポイント その3 ・・・工事原価管理ソフト・・・】
総務部長と工事部長は、早速「工事原価管理ソフト」の選定を始めました。まずは、ホームページを検索し、ソフトウェアの開発元(販売元)に資料請求を行うなどソフトウェアの情報収集を行いました。
両部長は、収集したソフトウェアのパンフレットやホームページの情報を元に選定作業を進める事にしましたが、何を比較検討してよいかわかりません。
工事部長 「機能がたくさんある方がよいのではないか。」
総務部長 「使わない機能があってもしかたありませんよ。値段が安いほうがいいですよ。」
総務部長 「導入指導料って高くないですか?マニュアルが付いているだろうし、必要ないのでは?」
工事部長 「それは困るよ。ちゃんと運用できるまで指導してもらえないと・・ ・。
困った時には問い合わせできるよな。」
工事部長 「これは当社が使っている帳票とソフトウェアで出力される帳票の並びが違う。見づらい。」
総務部長 「すべてが当社の帳票と同じソフトなんてありませんよ。」
工事部長 「それでは何を基準に選定すればよいのか?」
両部長 「・・・・・」
話を聞いていた私は、両部長にソフトウェア選定のポイントとして以下の3点をお話しました。
(1)本当に自社の業務に合ったソフトですか?
→ これまで検討してきた問題点をクリアする機能を持っており、業務の効率化ができますか?
これまで現状把握で作成した、業務のフローチャートや実際に利用している帳票類を元に
検証しましょう。
(2)信用できるソフトメーカーですか?導入時の指導はもちろん、サポート体制がしっかりしていますか?
→ 有償サポートであったとしても、きちんと体制が整っている方が安心です。
ホームページや実際の説明を聞いて確認しましょう。
(3)将来的な拡張性・柔軟性はありますか?他システムとうまく連携はとれますか?
→ 当社では建設業会計ソフトウェアがすでに導入されていますが、何度も同じデータの入力を防ぐため
「工事原価管理ソフト」のデータを連動することが可能でしょうか?
また、実際に運用する場合どのような手順でどの程度の作業が必要なのかを確認します。ややこしい作業が必要であれば、導入後しまった!ということになりかねません(パンフレットには可能と記載されていても、細かい制約がある場合が結構あります。)。
以上のポイントでソフトウェアを検証していくと候補は3本に絞られました。
しかし、上記ポイントに記載した細かい点はパンフレットにも記載されておらず、最終判断は、実際にソフトウェアを見てから決める事とし、ソフトメーカーにデモンストレーションを依頼することにしました。実際に利用する従業員の方にも見て頂き、意見を伺いながら、最終決定をすることにしました。
次回も引き続き、ソフトウェアの選定(デモ編)についてお話しようと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/