専門工事業D社より「支払業務の効率化」について相談があり、現状を調査した結果、複数の業務で同様のデータを入力していることや今後の処理件数の増加などの理由から、専用のソフトウェアを導入することで効率化を図っていこうという結論に達しました。
今回から、ソフトウェア選定のポイントについてお話しいたします。
【5.ソフトウェア選定のポイント その1 「オーダーメイド」か「パッケージ」か?】
支払い業務のIT化を決意した総務部長様と早速ソフトウェアの選定に着手しました。
といっても総務部長は、一体何から始めてよいか分からず、知り合いのIT業者に相談したところ、
「ソフトウェアの作成から導入まで約6カ月、費用は900万円必要になる。」
と聞かされ、驚いて私に連絡がありました。
「本当にそんなに費用が掛かるのなら、導入は難しいかもしれない・・・。」
と半ばあきらめ顔でしたが、
「一体どのような話をしたのですか?」
と聞いてみると、
「D社の発注→支払業務は複雑で自社専用伝票を利用していることなどから、
オーダーメイドにてソフトウェアを作成しなければ、業務に対応できない。」
と説明があったそうです。
もちろん、D社の現状行っている「発注→支払業務」をそのままソフトウェアで実現するとなるとオーダーメイドで対応するしかないのですが・・・。
少し説明になりますが、ソフトウェア導入には、大きく分けて2つの方法があります。
自社の業務に合わせてソフトウェアを作成してもらう方法と予め業務毎に作成されたソフトウェアを導入する方法です。例えば、洋服のオーダーメイド(仕立服)とプレタポルテ(既製服)の様なものです。
オーダーメイドのメリットは、自社の業務に合ったソフトウェアを導入できることであり、デメリットは導入までに時間を要すること、費用が高いことです。また、今後修正や追加が必要になった場合にも高い費用が掛かることがあります。
一方既製品(以下パッケージソフト)のメリットは、コストが安いこと、導入期間が短いこと、デメリットは、自社の業務のやり方をパッケージソフトに合わせて変更するなどの対応が必要な点です。
以前では、オーダーメイドでソフトウェアを作成し、オフコンと呼ばれるコンピュータを使用しなければ、複雑な業務や多量にデータを扱うような業務はこなすことができず、多くの中小企業で導入されてきました。最近では、パソコンの機能が格段にアップしたこともあり、パッケージソフトウェアの機能も高くなり、以前のオフコン以上の業務が可能となっています。
現在では、標準的な業務は、パッケージソフトウェアを利用し、特殊な業務だけをオーダーメイドのソフトウェアを利用する中小企業が多いようです。中には昔導入したオフコン用のオーダーメイドソフトウェアをオフコンにて運用し続けている場合もあります。パソコンで運用したいのですが、一からソフトウェアを作り直す必要がありコスト負担が馬鹿にならないからです。
また、ITに強い従業員がいらっしゃる企業では、市販のデータベースソフト(Access、FileMaker等)を利用し自社でソフトウェアを開発してしまうといったつわもの企業もあります。
D社のお話に戻りますが、私は、
「総務部長様のご要望『できるだけ低コスト、短期間での導入』を考えるとパッケージソフトを採用するのが
一番だと考えます。その代わりパッケージソフトに合わせて業務のやり方や伝票の書式を変更することが
必要になりますよ。」
とお話しました。
次回はパッケージソフトウェアの選定についてお話したいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/