第16回:<ステージ2>月次の実績を把握しており、かつ、それにもとづいた管理も行っている企業(7)

皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

今回は前回に引き続き「在庫(製品原価)の評価」の問題についてお話させ て頂きます。

前回は、管理上の在庫の評価と現場でのモチベーションに関しての問題 提起までで終わっていました。問題提起の内容としては、「実際の原価で 在庫を評価した場合」と「目標の原価で在庫を評価した場合」において、 現場でのモチベーションとどう関係してくるか、ということでした。

今回は、「目標の原価で在庫を評価した場合」現場でのモチベーションに ついてです。

会社に限らず、個人もそうですが、目標を立て、それを達成するために努力を します。受験をした経験がある人は多いと思いますが、目指す学校を目標 設定して、その学校に受かるためにはどのような勉強をすれば良いかを研究し、 それに向かって努力をされたのではないでしょうか?

製造部門における「在庫(製品原価)の評価」も同様で、「この原価で製品を 造りましょう!」という目標を設定することで、受験勉強と同様に、 意識して努力をしていくようになります(なるのが普通です)。 そのため、現場のモチベーションも自然と「原価を下げる!」という方向に 向かいます。

このような目標設定を行わない「実際の原価で在庫を評価した場合」の方法で は、単純にかかった分だけが原価され、その原価が「高いのか?安いのか?」 という意識すらすることはないため、「ああ、こんなもんだな・・・」で 済まされてしまうのが当り前だと考えて良いでしょう。

というように、「目標の原価で在庫を評価」することは「原価を下げる」という ことを現場に意識してもらうには非常に有意義だと言えます。にもかかわらず、 (前回の話ですが)社長は何故「今は時期ではない!」と明言をしたので しょうか?

恐らく、読者の方で製造業を経営されている経営者の方であれば、この社長と 同様、「そんな単純なことではない」と思われていることだと思います。 この単純でない内容に関しては、次回お話させていただきます。

萬屋博史(コンサルティング部長)  執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yorozuya/

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