第13回:<ステージ2>月次の実績を把握しており、かつ、それにもとづいた管理も行っている企業(4)

皆様、こんにちは。

前回までは、小売店の責任者の方からお聞きした話として、その会社の
業績評価にあたって、本社側が当初の予算をオーバーしてつかった経費を
店舗側に配賦されてしまうため、店舗側がどんなに頑張っても、予算を
達成できず、社内での評価が得られないことが、現場側ではストレスであり、
やる気がなくなってしまっていることについてお話しました。

今回は、その評価(管理会計)上の問題点と改善策について、お話したい
と思います。

人は誰しも、自分でコントロールできることに関しては、責任を持って
その使命を果たすことができます。しかし、自分でコントロールできない
ことになると、当たり前のことですが、責任は取れません。この首都圏で
小売店を営む会社は、このような当たり前のことを管理会計上、考慮して
いなかったため、店舗責任者の不満がたまったのです。

具体的に言えば、本社費というものは、店舗の責任者がコントロール出来る
経費ではないため、本社が予算を超えてつかった経費まで「あなたの責任
ですよ。」と店舗責任者に責任を負わせることになってしまえば、
「じゃあ、本社の決済権も私に下さい。」ということになってしまいます。
つまり、予算を超えた本社費まで、各店舗に負担させることが、不公平で
あり、そのため、店舗責任者から納得が得られないのです。

それでは、これを解決するためには、どうすれば良いのでしょうか?

答えは簡単です。予算を超えた本社費を各店舗に負担させなければ良い
のです。「本社の今期の予算はこれです。ですので、あなたの店舗の今期の
本社費はこの金額です。この金額は年度を通じて変わりません。」と
本社側で言っておけば、店舗責任者は「本社がいくらつかおうと私には
関係ないんだな。」と分かり、店舗運営に集中できるし、自分のコント
ロール外の経費の責任も負わされないので納得するでしょう。
その一方で、本社も予算達成の努力をしなければなりません。

このように、各部門の業績評価をするにしても、公平感や納得感を得られ
なければ、現場の人達は気持ちよく仕事を出来ない可能性があります。

一度、業績評価の仕組みを見直してみてはいかがでしょうか?

みどり合同経営 コンサルティング部長
シニアコンサルタント 萬屋博史
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yorozuya/

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