今回は、前回から引き続き、「(3)キーマンを明確にしたこと(実弟の部長とキーマンの新部署の部長への登用)」の、経営者の方との具体的なすり合わせの方法を考えていくことにします。
私どもは、中小企業様の様々な会議に参加させて頂き、キーマンの方の発言やその発言に対する他の出席者の反応や意見を確認していきます。また、キーマンの方がやっている仕事内容や周りの従業員の方とのコミュニケーションの状況などを、細かく情報収集していくことにしています。それを繰り返し行っていきます。
理由は、前回お話をしました、資質をきちんとお持ちであることに加えて、会社(経営者)の考え方や価値観をきちんと共有し、それを通じて発言し、幹部や従業員の方に対応をしているかを確認していく為でもあります。
私ども自身もこのような時間を経て、本当に会社にとって重要なキーマンがだれかを、経営者の方と目線合わせを行っていくことにしています。経営者の方とともに、じっくり考え、そしてキーマンにやって頂くこと、組織上の役職等を決定し、会社のキーマンとしての位置付けを決定していくことになります。
先の事例では、約6ヶ月かけて、幹部や従業員の方へのヒアリングをスタートに、調査を行った上で(財務面も同様です)、経営計画を策定しました。そして、その後は会議開催の支援や、経営管理資料づくり、営業活動の体制づくりなどの、実行支援をさせて頂いています。
実際に、私どもがキーマンとして考えていた2人が、新しい部署の部長への登用や経営幹部会議や取締役会へのオブザーバーとして参加をして頂けるまで、支援をスタートしてから約1年半かかっています。
時間がかかる理由は、中小企業様にとって、人事や組織をダイナミックに動かすことは、経営の改善や改革に必要であり、効果的な施策ですが、ほとんど毎日顔を突き合わせて一緒に仕事をしている所謂、中小零細企業様にとっては、慎重に実行しないと、取り返しがつかなくなる可能性が高くなるからです。
特に創業者でない経営者の場合(つまり2代目、3代目の経営者)は、一回失敗してしまうと、幹部や従業員の方からの信頼が二度と回復しない場合があると、現場でご支援させて頂いている中で感じています。
また、もう一つの大きな理由として、会社(経営者)の考え方、価値観をきちんと共有していただく時間が必要だということだと思います。
もちろん、今まで働いてきている中で、ある程度、会社の風土や価値や理念を共有しています。しかし、経営者とともに、会社の幹部として、会社を引っ張っていく、新しいことに取り組んでいくためには、さらに強い共感を持つことが必要になります。
その為には、経営者自身も方針を明確にし、日々言動で示し、キーマンに示し続け、つねに価値観を共有していく時間を作っていくことが必要であり、当然一定の時間が必要ということではないでしょうか。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 澤田 兼一郎
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c02/