建築工事業C社様では、多くの社内会議資料を作成されており、本当に活用できる管理資料にするための見直しを進めてきました。
これまで営業部門で使われている「営業見込物件リスト」について、お話をしてきました。今回からは工事部門で作成している管理資料についてお話をしていきたいと思います。
【7.工事原価管理資料】
C社の工事部では、各工事の責任者(以下、現場代理人)が工事原価管理を行っています。
工事毎に予算に対してどのぐらいの原価が発生しているのか、予算残はいくらなのかを早期に把握しようと工事部長を中心に試行錯誤してきました。現在では、EXCELを利用して正確な工事原価管理を行おうと工事部長が先頭にたって頑張っています。
建設業では、工事を着工する前に「実行予算書」と呼ばれる予算書を作成します。実行予算内に工事原価を抑えることができれば、その工事において利益が出るように作成されるのが通常です。
したがって現場代理人は、工期中は常に手元に実行予算書をおいて工事原価の発生状況を把握し実行予算をオーバーすることの無いように注意深く、実行予算管理を行っています。
C社の現場代理人は、外注や材料を発注する際に注文書を発行しますがそれと同時に実行予算管理の帳票(EXCEL)に注文した金額を入力していきます。毎月、実際に外注先や材料の仕入先から請求書が届いた際にも注文書に対してどれだけの請求が来たのかをEXCELに入力して確認しています。
そうすることにより、実行予算に対する発注分、実際の支払金額、予算残などを把握し、さらに工事が完成するまでに発生する工事原価を予測し、最終工事利益の予測値を管理しています。
また、工事部長様は、各現場代理人が作成した実行予算管理帳票の集計行を一覧表にまとめた管理資料を作成しています。現在進行中のすべての工事における工事原価の発生状況と最終工事利益の集計を行い、経営会議にて報告を行っています。
実行予算に基づいた工事原価管理について、工事部長様よりお話をお聞きし、感心していたのですが、実は資料をまとめるのにかなり手間がかかっており、忙しい現場では、資料が作成できていないなどのお悩みがあることがわかってきました。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/