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|Q:建設業の経理担当者ですが、工事利益の予測ができず困っています。|
| 何か良い方法はありますか? |
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A: 決算月が近づいてくると、突然、社長から、「今期の決算着地見込みはどうなっているのか?工事利益は?」と尋ねられて返答に困ることはないでしょうか。
決算前になると今期の利益目標と比べてどうなのか、利益が多ければ決算対策が必要になるでしょうし、目標利益に届かない場合には、どの程度の金額が足りないのかを社長や経営幹部に報告しなければなりません。目標利益に届かない可能性がある場合は、現在進めている工事の中で段取り次第で今期に完成しそうな工事のスピードを上げるなどの対応をしていく必要があるからです。
このような対応をしていくためには、経理担当者としては、決算月の6カ月前には大まかな数値を、2カ月前にはほぼ正確な着地見込みを把握する必要があります。これを行うためには、決算月が近づいた時のみ工事利益の予測を行えばよいのではなく、月次ベースで現場責任者から「最終工事利益予測」を出してもらうことをお勧めします。
現場責任者は、毎月外注業者や材料業者の請求書をチェックしますが、その際に現在まで発生した工事原価(累計)を把握し、同時に今後完成までに発生する工事原価を予測します(既に発生した工事原価(累計)の把握は、現場責任者と経理担当者が協力して数字の確認をしましょう)。
これらから、「最終工事利益」を予測し経理担当者に報告するようにします。また、追加・変更工事についても発生を把握できた時点ですぐに、「最終工事利益予測」に反映させます。しかし、経理担当者への報告だけを目的とするとなかなか定着しません。経理担当者の為にわざわざ「最終工事利益予測」をするのでは、現場責任者が行っている業務の中での優先順位は下がってしまい、工事が完成したあとに報告するといった本末転倒のことになりかねません。
工事部で行う工務会議等で、この「最終工事利益予測資料」に基づき工事原価や工事利益予測を各現場責任者に報告させるようにします。内容について工事部全員で把握しお互いにチェックする事で、コストダウンや工事利益アップについての前向きな検討を行うことができ、効果が期待できると実感しています。工務会議で「最終工事利益予測資料」を活用することで、資料の重要性についても十分理解され、会議の定期的な開催に合わせて各現場の「最終工事利益予測資料」も更新するような運用ルールにすることができます。
このような最終利益予測管理方法は、1件の受注単価が高額で、しかも受注してから納品するまでの期間が比較的長い業種において利用できます。
次回では、この「最終工事利益予測」を利用して利益計画との進捗状況について確認する資料について説明したいと思います。
みどり合同経営 コンサルティング部門