先日、メキシコのカンクンへ旅行に行きました。カンクンはアメリカ人に人気のあるビーチリゾートです。オフシーズンであることに加えて、この経済危機ですから、もっと閑散としているかと思ったのですが、意外と旅行者でにぎわっていました。
観光地の中で、カンクンは比較的健闘しているようです。アメリカドルに対して、メキシコペソが更に安くなっていることが一因かと思いますが、日数を短くしたり、行先を変更したりするなど、みんな色々と考えながらバカンスを楽しんでいるようです。
一方で、やはり全体としては、旅行を控える人たちが増加しているのも事実です。昨年末に行われたあるアンケート調査の結果では、2009年について、約4割の人が前年よりも旅行の機会が少なくなるだろうと答えています。
出張についてもほぼ同じ割合の人が、機会が減ると答えており、企業がこれまでの通常の会議を、テレビ会議等で代替しつつあると指摘しています。2009年は旅行業界にとって、やはり大変厳しくなりそうですが、ガソリン価格がまた安くなっている(1ガロン約1.9ドル)ことがせめてもの救いかもしれません。
さて、前回は米のリカバリープランについてお話しましたが、2月17日、オバマ大統領が総額7,870億ドル(約74兆円相当)の景気刺激対策法案(American Recovery and Reinvestment Act)に署名し、法案が可決されました。
総額7,870億ドルの対策の内訳は、減税と州及び地方財政救済で過半数の4,320億ドル、インフラと科学への投資1,110億ドル、経済弱者の救済810億ドル、ヘルスケア590億ドル、教育・職業訓練530億ドル、エネルギー対策430億ドル、その他80億ドルとなっています。前回ご説明したインフラ、医療、教育、エネルギー対策の他、「経済弱者の救済」が挙げられているのが、オバマ大統領らしいとして、人々の支持を集めているようです。
この対策については、可決前から賛成・反対と様々な議論があったのですが、特に、米国製品の購入を義務付ける条項(Buy American)が盛り込まれるべきか否かが一つの焦点となっていました。結果的に盛り込まれないこととなったのですが、この議論の中で、すでにアメリカで生産されていないものがいかに多いかという事実を知らされることになりました。
たとえば、エネルギー関連では、米国内のソーラパネルや風車のタービンのほとんどは、すでにヨーロッパやアジアから輸入されているため、アメリカ製品を買おうにも買えないというのです。いまさらながら、米経済がいかに深刻な状況にあるかを思い知らされます。
さて、アメリカ消費者の環境対応と題して約半年間、こちらの生活で目にしたこと、ニュースで印象に残ったことなどをレポートさせていただきましたが、私も3月に帰国することになりました。そこで、当連載はこれを最終回とさせていただきます。お付き合いくださった皆様、ありがとうございました。
ご参考
○The White House, Recovery.gov 2009/2/17 “Your money at work”
http://www.recovery.gov/
○Nytimes.com 2009/2/21 “‘Buy America’ in Stimulus”
http://www.nytimes.com/2009/02/21/business/21buy.html?pagewanted=1
○JPSOS “Leisure Travelers Expect Less Travel in 2009”
http://www.marketingcharts.com/topics/behavioral-marketing/business-and-leisure-travel-to-head-south-in-2009-7101/ipsos-travel-survey-expect-more-less-same-2009-fall-2008jpg/
みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c05/