コラム 管理会計は大企業だけのツールではない! ~気付く力を養う会計~ 第5回:<ステージ1>月次の実績は把握できるが、それにもとづいた管理を行ってない企業(2)

 皆様、こんにちは。

先日、昔一緒にお仕事をさせていただいたA社の経理部長から電話をいただきました。
電話の内容は「原価計算をちょっと教えて下さい」ということでした。

いきなりの話だったので「どうかされたのですか?」と尋ねたところ「K部門の正確な利益を知りたくて・・・」との答えが返ってきました。

A社は製造業なのですが、複数の工程でかなり複雑な加工を行っており、原価計算となるとかなり難易度が高いため、正直「(弱ったなぁ・・・)」と思いながら、「なぜK部門の利益を知りたいのですか?」と尋ねてみました。

すると、「K部門は特殊な機械を作っていて、もちろん外部への販売も行っているのですが、社内でも製造に使っているので、赤字になっているのです。機械の原価計算を出して、本当は利益が出ているのかを知りたいのです。」という答えが返ってきました。

整理をすると、K部門は経理上は赤字ですが、それは社内で使う機械の原価がK部門の経費に混じっているため、余計な経費負担をしているだけの話だから、しっかり原価計算をして、社内で使う機械の原価分を差し引いたうえで、正しい損益が見たいということです。

確かに、経理部長が言っていることは間違ってはいませんが、それでは非常に手間がかかってしまいます。
「社内で使う製品も外部に販売する製品と同様に売上を立ててみてはどうでしょうか?」と提案してみました。

すると経理部長は「なるほど・・・社内でのやり取りも外部との取引同様に会計処理することによって手間がかかる原価計算をする必要もないし、部門損益もしっかり算出できるということですね。まさに一石二鳥ですね。

それならば、今すぐにでもやれそうです。ありがとうございます。」と言って、大喜びで電話をお切りになりました。

ものの流れに忠実に正確な原価や正確な損益を突き詰めようとすると、複雑になってしまうようなことでも、見方を変えてみると非常に単純になってしまいます。
管理会計においては、このような工夫で解決する問題がたくさんあります。
皆様も見方を変えて工夫してみてはいかがでしょうか。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門 アカウティンググループ
コンサルタント 萬屋博史
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yorozuya/