前回は、「THE金型名人」サークルが取り組みで得た成果の標準化を図り、これまでの活動内容についての反省を議論したところまでをお話ししました。これでQCサークルの流れは一通り終了ですが、もう一つ忘れてはならないのが「成果発表会」です。
QCサークルを実施している企業では、活動のまとめとして発表会を実施しているのが通常だと思います。発表会を盛り上げる工夫は重要ですが、発表内容については飾りすぎないことが大切だと思います。できたこと、できなかったことを素直に反省し、次につなげる発表ができるかどうか、またそれをトップが正当に評価できるかどうかが発表会での重要なポイントだと私どもでは考えています。
これまで、Nさんたちの「THE金型名人」サークルでの事例をもとに、QCサークルの編成からスタートし、テーマに応じた問題解決をどのように進めていったかをお話させていただきました。同時に、私どもがQCサークルをお手伝いさせていただいている中で、重要だと感じている点、難しいと感じている点なども含めてお話させていただきました。これから社内でQCサークル活動を実施してみようとお考えの方々に、少しでもご参考になれば幸いです。
これからQCサークル活動をしていこうと考えていらっしゃる企業様には、ぜひQCサークル活動を難しく考えないでいただきたいと思います。初めは、みんなが気軽に話し合える職場づくりや、自分達の仕事が少しでも楽になる小さな改善を目的に進めることで十分だと思います。大切なことはこれを継続していくことではないでしょうか。
初回(ゼロ回号)にお話しましたとおり、私どもはQCサークルを「考える組織づくり」の一貫と考えています。
企業が「考える」ことを習慣化し、らせん状に上方滑走していくことを目的としているからです。そのため、QCサークルも1回の活動で終わることなく、次はその反省からスタートし、さらに良くしていくためにはどうするか、絶えず考えていくことが大切だと考えています。
これは、なにも、同じテーマを何度も繰り返すということだけではありません。前回の反省を活かした取り組みを次にしていただきたいということです。例えば、前回は現状把握で定量的な把握が十分にできなかったため、効果の確認をしづらかったと感じた場合には、次のテーマでは定量データもしっかり取ってみよう、などです。これらの反省を先輩達が若いサークルメンバーに伝えていくことで、真に考える組織づくりができていくと考えています。
これまで、事例を含めながら、15回にわたり連載させていただきました。最後までお付き合いくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。
みどり合同経営 コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c03/