建築工事業C社様では、多くの社内会議資料を作成されており、本当に活用できる管理資料にするための見直しを進めてきました。
これまで営業部門で使われている「営業見込物件リスト」について、お話をしてきましたが、今回はこの資料が営業部門内だけに止まらず、全社的に思いがけない効用があった事についてお話いたします。
【6.経営会議での「営業見込物件リスト」の効用】
経営会議内で行われる営業部長の報告に「営業見込物件リスト」を資料として使うようになったところ、経営幹部の方から「営業部の活動の状況が大変わかりやすい。」と評価頂くことができましたが、他にも大きな3つの効用がありました。
1つ目は工事部の部長より「今後どんな工事が受注できそうなのか予測できるので、現場代理人の配置などの予定を立てやすくなった。」と評価されるようになりました。
2つ目は、資金繰りを担当している総務部長から、「いつ、どのような工事が受注できそうなのか予測することができ、長期の資金繰りを考える上で大変役に立つ。」「銀行にもある程度余裕をもって事前に相談することができる。」と感謝されるようになりました。
3つ目は、経営会議での主要な議題の一つである今期の利益目標に対する着地予想への利用についてです。
C社様では今まで決算月が近づかなければ今期の完成工事高、利益の着地予測ができませんでした。決算月間際になり、目標に対して届かないということが判明しても、打てる手立ては少なく社長様も仕方がないと諦めていました。
しかし、営業見込物件リストが充実してからは、当然の事ながら営業見込物件の中から、ほぼ受注が確実なもの、必ず受注したい物件に絞って受注予定の数値として利用するようになりました。
最初は完成工事高のみ受注予測に記載していましたが、そのうち「工事利益についても同様に着地予測に利用できないか?」との声も上がり、工事利益の予測金額も資料に追加することになりました。
同時に「営業見込物件リスト」にも工事利益の予想金額を記載する欄を設け、営業段階から工事利益を意識した営業活動を行っていくことができるようになりました。
最近では営業活動を行うにあたり、営業担当者だけではなく、工事担当者や積算担当者も一体となり、営業方針を考えることができるようになってきました。
社長様も「営業活動に対して全社で取組むという意識・雰囲気がでてきたと感じている。」と喜んでいらっしゃいました。
みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/
前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/