お金の話Q&A(8)「利益計画の進捗を把握するには?」を追加しました

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| Q:建設業を営んでいますが、単年度の利益計画と実績との進捗状況が |
|  わかる資料を作りたいのですが、良い方法はありますか?           |
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A: 工事数の激減、利益率の低下により、せっかく工事を受注しても注意深く管理を行っていかなければ利益が確保できず、経営が難しい現状です。利益を確保するために利益計画を策定し、毎月その進捗状況を把握しようとしても、建設業ではどのように管理すればよいか分からないとのお悩みをよくお聞きします。

 

そこで、前回お話しいたしました「最終工事利益予測」を利益計画の進捗管理に活用したいと思います。

 

まず、期初から期中については、まだ、受注工事数も少なく最終工事利益を予測しても目標に全く届きません。そこで営業中の物件を中心として、まだまだ工作している段階でもどれぐらい見込工事高、工事利益があるのかを把握していくことが重要です。

 

期初こそ、利益目標をしっかりと認識してもらうためにも資料を活用して頂きたいと思います。そのためには、後ほどご説明しますが、今期、来期と期を分けた資料作りを根気よく、正確に作っていきましょう。また、過去3期分の同月までの実績や見込みをグラフ化するなどし、一目で過去どの時期にどのぐらいの実績があり、利益予測が立っていたのか当期と比較することで、当期の進捗状況が例年並みなのか、遅れているかの判断目安になります。

 

重要であることは、まず実績累計の伸びが、過去の伸びと比べてどうなのか、そして見込み物件の数や利益額がどうなのかを比較することです。

 

続いて、決算の半年前にはその期の利益達成の可能性について、ある程度把握できれば理想的です。この時点で、目標利益に達していた場合は、「このまま利益が確保できるよう注意深く工事を進め、来期をにらんでの受注活動に注力する。」反対に利益目標に達成していない場合は、「今期中に完成見込みの小工事を積極的に受注し今期中の利益増加につなげるなどの営業方策をとる。」などの対応が可能となります。

 

ある会社では、期の後半になって受注を予定していた大型工事が突然取りやめになりました。今までグラフは順調に右肩上がりに伸び目標利益達成まであと少しのところに来ていたものが突然急降下してしまい今期はもう目標利益達成は無理ではないかと感じていました。

 

しかしながら、このような資料を継続的に作成していたおかげで、これを見た従業員は、危機感を持ち一致団結することができ、期末までに無くなった利益分を達成しました。

 

最終的な詰めとして、期の後半は毎月決算時の利益予測と利益計画とを比較していきます。利益予測については、工事の進捗状況ごとに次の数値を集計します。受注後着工したばかりの工事については「積算時の利益見込」や「実行予算上の利益見込」、施工中の工事については、「最終工事利益予測」、完成工事は「完成工事報告書より工事利益」を用います。

 

資料の集計に際しては、工事毎に当期中に完成するのか、来期以降の完成なのかを確認し、2期分の利益計画との比較資料を作成して行きます。上記に加えて、現在営業中の物件についても考慮します。もちろんすべての営業案件が受注できるわけではありませんので、受注見込み確率に応じて工事利益を試算することをお勧めします。

 

いずれにしろ、期から半年以上たった時点では、できる内容も限られてきます。期の初めから、社員一同危機感を持つことが重要ですし、そのような資料を作成する工夫がなにより肝要です。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門