これは使える!ちょっと工夫”業務改善への道” 「管理資料・会議資料作成のムダ(3)」を追加しました

建築工事業C社様では、社内会議資料作成に多くの時間が費やされており、この改善策を探っていくことになりました。

 

まずは営業部門で使われている「営業見込物件リスト」について、検証を行ったのですが、資料の内容が営業中の物件ではなく、成約確実な物件しか掲載されていない事が分かり、実質営業活動に役だっていない事が判明しました。

 

【4.公共工事から民間営業強化へ】
民間工事営業は公共工事と違い、見込物件を少しでも多く収集するところからのスタートです。 

たとえ受注確率が低くても営業関係者で情報を共有し、なんとか受注に結び付けるために知恵を出し合い営業活動につなぐ事が重要です。トップ営業も重要ですが、営業部門、全社営業で取り組まなければなりません。

 
しかしC社の営業会議は、新規受注物件の報告など形式的なもので、あまり議論もなく、社長からの一方的な話で終わっていました。

 

そこで、社長様に民間営業強化の重要性、そのためにどんなに受注見込率が低くても、営業見込物件をすべて出して欲しいことを営業部員の方に訴えて欲しいとお願いしました。 

また、営業会議では営業見込物件に対して前向きな議論をすることや、もし失注になった場合でも、担当者を責めず、次につながるような議論を行うことや、会議の雰囲気作りにも気を配るようお願いしました。

 

【5.営業会議での取り組み】
その後営業会議では、「営業見込物件リスト」に情報を記載して貰うために、社長から民間営業の重要性について説明することや実際にどうやって見込物件を集めるのかについても具体的に指示を行うなどした結果、徐々に営業担当者の意識も変化し、「営業見込物件リスト」に記載される物件数も多くなっていきました。

また、営業部長様も営業会議の際に、若い担当者に「この前君が言っていた○○の件、記入漏れしているよ。」とさりげなくフォローを入れてくれるようになり、会議の雰囲気も担当者が発言し易い雰囲気に変わっていきました。 元々、営業担当者は自分たちなりに考えて営業していたのですが、成約にならないと評価して貰えず、また社長や営業部長から「何をやっているか?」と叱られ、モチベーションが下がることが多かった様です。

 

充実した「営業見込物件リスト」を基に営業会議を行うようになり、これまでの報告中心の会議とは違い、営業先やキーマンの情報について社内で情報共有を行い、次に何をしていったらよいかなど、物件毎に具体的なアクションプラン(行動計画)を考えることや活発な議論ができる営業会議へと変化していきました。

 

たとえすぐ受注につながらなくても、来年、再来年の受注に向けて営業活動を地道に行う事を理解してくれる事や、苦労して受注した際には、皆がその功績をねぎらうなど、営業担当者のモチベーションも上がり、結果的に営業部が活気づいてきました。

 

「営業見込物件リスト」は会議資料の一つですが、会議に際して、全員で考え議論する為の重要なたたき台資料です。

 

営業会議では、とかく成果のみを求める傾向がありますが、受注するために考え議論するプロセスを大切にし、継続して行く事で営業部全体の強化につながり、引いては民間営業への取り組みについても成果がでてくるものと確信しています。

 

次回は、この「営業見込み物件リスト」を経営会議、資金繰り資料に活用していくお話をしたいと思います。

 

みどり合同経営 コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/yamashita/

 

前回までのレポートはこちらをご覧ください → http://ct.mgrp.jp/column/c01/