2007年6月7日号

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             ● みどり合同経営 Information ●
              -コンサルティング・M&A部門-
                  2007年6月7日号
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皆様こんにちは、みどり合同経営コンサルティング・M&A部門です。
このメールマガジンは、ご縁を頂いた方に配信しています。
配信不要の場合は、恐れ入りますが、その旨メールにてご連絡ください。

 

香川に引っ越して早3年。この季節には早明浦ダム貯水率のニュースが流れるのにも慣れました。こちらでは、節水は当たり前。取水制限や断水も実施される場合もあります。そうなってくると、車の洗車を自粛したり、幼少学校等のプールを使用中止にしたり、市民生活で使用量を減らす努力がなされています。

県民一丸となってと言えば、大げさかもしれませんが、「雨が降って欲しい」「水の使用量を減らそう」という気持ちは、県民誰しもが持っているように思います。

気象庁の6~8月の3カ月予報によると、少雨のため水不足の恐れがあるとのこと。普段は予報が外れたら困るのですが、今回は外れて欲しいと願っています。(編)
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▼ INDEX
■中小製造業の原価管理のポイント <犬飼あゆみ>
■ティータイム 【マイクロソフトだけでいい?】 <河瀬貴光>
■建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務 <原田裕子>
■お問い合わせ先 <メール配信の中止及び設定の変更等>
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◆ 中小製造業の原価管理のポイント
8. 原価企画のフローと前提条件

前回は、原価企画の目標設定についてお話しました。さて、目標の設定ができれば、あとは目標をクリアするためのコスト低減活動の実施あるのみです。今回は、コスト低減活動のPDCAサイクルとその前提条件について考えてみたいと思います。

 

コスト低減活動のPDCAサイクルとは、前回お話した部品別、部門別にブレークダウンされた目標設定を受けて(P)、(1)全関連部門が意見を出し合いながらコスト低減案を検討し(D)、(2)この案を実施した場合の製品の原価を見積り(C)、(3)目標をクリアしていれば製造開始、クリアしていなければ見直し(A)、ということになります。これは、コスト面に絞ってお話していますので、もちろん、これらの案を実施した場合に製品がスペックをクリアできるか等のチェックも同時に行なっていくことになります。

 

基本的に、このPDCAサイクルを1回転させただけでは、目標金額に到達するわけがないと考える必要があります。通常の原価企画活動では、このサイクルを4~5回実施しているのが実情ではないでしょうか。そのため、4、5回実施することを前提に、製品の製造・販売を開始したい時期からどれだけ前に活動に入るのか、どの段階でコストの検証をするのか等を事前に計画しておきます。この活動期間は製品種類によって全く違いますが、製品ライフサイクルが短くなっていることにより、どんどん回転を速くしていくことが求められていると感じています。

 

このPDCAサイクルを回していく大前提として、大きく次の2点が重要だと考えています。(イ)全社的な取組みとすること、(ロ)原価企画に携わるメンバーが、原価について共通の認識を持つこと、です。(イ)については、プロジェクトメンバーとして、開発・設計者、製造担当者、購買担当者はもちろんのこと、お客様の声を知っている営業担当者などを入れながら、文字通り全社的に取り組むということです。これは、普段から各部門が顔を合わせやすい中小企業では、比較的実行しやすいのではないでしょうか。

 

次に(ロ)の、原価についての共通の認識を持つというのは、原価を購買担当者しかはじけないということでは、コスト低減につながる案が出せないことになるからです。設計者が安くなると思って書いた図案が、逆に高くなるというのでは困ってしまいます。そこで、「コストテーブル」を作り、共有化することが必要になります。コストテーブルとは、単に既存の部品などの値段をリストアップにしたものに留まらず、例えば、「既存のものを10cm短くしたらいくら?」、「材料をこれに変更したらいくら?」、ということが見てすぐに分かるものであることが大切です。余談になりますが、これを作成し、取引業者さんと交渉しながら毎年安くなるようにテーブルを改廃していくことが、購買担当者の重要な仕事の一つです。コストテーブルを一度に全て整備することは困難ですが、主要な製品、主要な部品から、まず着手してはどうでしょうか。その後の購買業務も楽になります。

 

このテーブルがあることで、設計者が「この部品をこう変更したらいくら安くできる」、更には営業担当者が「この機能を廃止したらいくら安くできる」ということがわかり、最終的には製造担当者から見た造りやすさも勘案して決定していきます。こうして初めて全社的な取組みができるようになるのです。

 

それでは次回からは、PDCAのDの段階として、具体的にどのようにコスト低減案を出していくかを考えていきたいと思います。

 

コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
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◆ ティータイム
「マイクロソフトだけでいい?」

前回のメールマガジンで連休前に行う作業「マイクロソフトのWindowsUpdate」を紹介させていただきました。前回メールマガジン校了後、マイクロソフトの不具合が発生していました。お勧めしておきながらトラブルが起きてしまいましたので、今回の不具合内容を紹介させていただきます。

 

MicrosoftUpdateが終了しない問題があり、またPCが応答しなくなる場合がある

・コンピュータの負荷が高くなる。
弊社では操作ができないほどパソコンの動作が遅くなりました。

・WindowsUpdate が終了しない。
パソコンによっては2、3時間完了しませんでした。

弊社でもマイクロソフトが対応情報を発表する前にWindowsUpdateをすべて行い状況を回避しました。(20台程度を作業、仮に20人の仕事が止まった場合の人件費を計算すると・・・)

 

ここで1社に偏ることを避けるためマイクロソフト以外の選択肢を検討してみたいと思います。とはいえ、基本ソフトはindowsになるかと思いますので、今回はアプリケーションを考えてみたいと思います。

 

・オフィスソフトについて
シェアの高いソフトは、やはりMicrosoftWord、MicrosoftExcelが考えられます。
メリットとしてデータのやり取りが行いやすい、操作説明などの情報を簡単に購入できる、他のソフトウェアとの連携が多い、などがあるかと思います。逆に上記条件が必要ないならば安価なソフト(無料ソフト)を使用することも考えられます。社内だけのワープロ文書(表計算文書)のやり取りだけならば必要性は低いと考えられます。

 

・メールソフト
Windowsで標準的に準備されているOutlook Expressがシェアが高いようです。

(企業の場合にはOfficeに同梱されているOutlookも多いようです。)

メールソフトもオフィスソフト同様シェアの高い商品は情報が多くなります。
一般的にメールソフト同士のデータ互換は必要ないため他のソフトに乗り換えるのは問題ないと考えられます。

 

・ウェブブラウザ
ほとんどの方がInternet Explorerを使用されているかと思います。またほとんどのホームページはInternet Explorer上で最適化(きれいに見える)されています。

ホームページには記述する規格(規定)があるため専用に作成されているページで無い限りは表示できるはずです。(マイクロソフトのホームページをFireFoxで閲覧することは可能です。)

事務作業(総務的な作業など)はマイクロソフト製品だけで簡潔することも可能かと思いますが、使用する目的を限定することで費用の面、およびリスクを分散することは可能かと思います。会社独自の業務だけでなく、一般的な業務も見直されてはどうでしょうか?

 

参考
オフィスソフト
オープンオフィス
http://oooug.jp/start/
StarSuite
http://jp.sun.com/products/software/starsuite/
KingsoftOffice
http://www.kingsoft.jp/office/
JUST Suite
http://www.ichitaro.com/2007/justsuite/?w=hmvs
  
メールソフト
Becky! Internet Mail
http://www.rimarts.co.jp/becky-j.htm
Eudora
http://www.eudora.roxio.jp/
Thunderbird
http://www.mozilla-japan.org/products/thunderbird/

ウェブブラウザ
Opera
http://jp.opera.com/
Netscape
http://wp.netscape.com/ja/
Firefox
http://www.mozilla-japan.org/

コンサルティング部門
情報テクノロジーミディエーター 河瀬貴光
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◆ 建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務
「建設業のM&A~企業評価(7)」

今回は、DCF法の計算のプロセス(以下(1)~(6))についての後半です。

(1) キャッシュフロー算定のベースになる将来の事業計画を作成する。
(2) 事業計画をもとに各期のフリー・キャッシュフローを計算する。
(3) キャッシュフローの予測期間以降の価値(ターミナル・バリュー)を計算する。
(4) 各期のフリー・キャッシュフローの割引現在価値とターミナル・バリューの割引現在価値を合計して事業価値を計算する。
(5) 遊休資産や余裕資金があるときは事業価値に加えて企業価値を計算する。
(6) 企業価値から有利子負債額を差し引いて株主価値とする。

 

まずは前回の内容を思い出してみましょう。前回は、(1)事業計画の作成、(2)各期のフリー・キャッシュフローの計算方法についてお話ししました。今回は、(3)のターミナル・バリューの計算からみていくことにしましょう。

(3)ターミナル・バリューの計算
DCF法で事業計画を作成する期間はふつう長くても10年くらいです。それ以上先の将来について信頼性の高い予測をするのは現実には不可能なので、細かい分析をしてもほとんど意味がありません。そこで、事業計画をつくる期間(予測期間)以降の価値については、ひとまとめに考えて計算を単純にしてしまいます。このひとまとめにした価値をターミナル・バリューと呼んでいます。

 

ターミナル・バリューの考え方はいくつかあります。もっともシンプルな方法として現在よく使われるのは、予測期間が終了したあと一定の成長率(永久成長率)でキャッシュフローが成長するとみなして計算する方法です。この方法では、ターミナル・バリューの金額を、予測最終年度の翌年のフリー・キャッシュフロー(最終年度のフリー・キャッシュフローに調整を加えて計算します)を、(割引率-永久成長率)で割ることによって求めます。

 

では、ここで、ちょっと建設業の場合の永久成長率について考えてみましょう。国土交通省の「平成18年度建設投資見通し」によると、建設投資額は、平成4年度の84兆円をピークとして平成18年度には52.9兆円まで落ち込んでいます。これは、平成4年度の約63%の水準です。この建設市場の縮小の原因が景気によるものではなく社会的構造の変化によるとみるならば、今後もこの市場の縮小傾向は続くものと予想されます。

 

しかし、ひとくちに建設業といっても土木と建築の市場は違いますし、同じ建築でも商業ビルと住宅では異なります。建設業の仕事の内容は多種多様であり、その中で今後縮小していく分野もあれば、住宅のリフォーム産業など今後成長が見込める分野もあるでしょう。さらに、同じ分野であっても年々売上の落ち込んでいっている会社がある一方で、その会社独自の強みを発揮して売上を伸ばしている会社もあるはずです。そしてこのような独自の強みを持つ会社が、M&Aの買い手にとっての魅力のある会社ということになるのでしょう。

 

したがって、成長率を設定するときには、市場の成長性と同時にその会社独自の状況などの両面から考える必要があると思います。しかし、10年以上先の成長率について正確に予想するのは不可能ですから、永久成長率はある程度の幅をもたせて考えたほうがいいかもしれません。また、いくつかの異なる分野で仕事をする会社であれば、それぞれについてまったく違う成長率を設定すべきケースもあるかもしれませんね(このケースでは、キャッシュフローの予測自体を別に行う必要があると思いますが・・・)。

 

ただ、予測期間については売上の成長を前提としている会社でも、ターミナル・バリュー算定の際の永久成長率は低めに置くのが通常であり、最終年度のキャッシュフローが同額でずっと続くと仮定する(永久成長率を0%とする)方法も簡便法としてよく使われています。

 

(4)事業価値の計算
各年度のフリー・キャッシュフローとターミナル・バリューが計算できたら、今度はそれを現在価値に割引いて合計しましょう。1年目、2年目、3年目・・・10年目のフリー・キャッシュフロー(FCF)をそれぞれFCF1、FCF2、FCF3・・・FCF10、資本コストをrと表すと、10年間のFCFの現在価値合計=FCF1/(1+r)+FCF2/(1+r)2 +FCF3/(1+r)3 +・・・+FCF10/(1+r)10 となります。

これに予測期間以降のターミナル・バリューの現在価値を加えます。ターミナル・バリューは10年目時点の価値なので、これを(1+r)10で割って現在価値に直し10年間のキャッシュフローの現在価値合計に加えたものが事業価値です。

 

(5)企業価値の計算
(4)で計算した事業価値は、あくまで現在おこなっている事業の価値です。でも、ほとんどの会社には、ふつう、事業には使われていない遊休資産や有価証券、あるいは余裕資金などがありますよね。そこで、企業全体の価値を求めるためには、事業価値に遊休資産などの事業に直接かかわりのない資産の処分価値を合計する必要があります。

 

(6)株主価値の計算
(5)で求めた企業価値は、有利子負債の形で資金を提供している債権者と株主のものですから、ここから債権者の権利である有利子負債額(時価)を差し引いた残りが株主の取り分(株主価値)です。
つまり、(5)と(6)のステップにより、株主価値=事業価値+遊休資産など-有利子負債額、と計算できます。そして、この株主価値を発行済株式総数で割ったものが理論株価となります。

 

前回と今回の2回でDCF法による株主価値の算定のプロセスについてみてきました。企業評価においてDCF法は基本となる評価方法です。ただし、DCF法にも欠点があります。その企業や事業の内容についての知識がそれなりに必要であり簡単にできる方法とはいえないからです。

 

そこで次回は、DCF法よりも簡便的な評価方法であり、実務でよく使われているマルチプル法についてみていこうと思います。

 

M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子

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