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● みどり合同経営 Information ●
-コンサルティング・M&A部門-
2007年5月10日号
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皆様こんにちは、みどり合同経営コンサルティング・M&A部門です。
このメールマガジンは、ご縁を頂いた方に配信しています。
配信不要の場合は、恐れ入りますが、その旨メールにてご連絡ください。
先日テレビで「スポーツ選手の司令塔の視点」という番組特集を見ました。スポーツのお話なのですが、面白いと思いましたのでご紹介します。
(1)試合中の視点としては、目線で見るのではなく、俯瞰で自分の現在位置を把握している。そのため、前面(180度)ではなく360度の視界で、また空間的なスペースとともに、敵、味方の位置を把握している。
(2)味方にパスするときは、パスを受ける人の本気度、調子に合わせている。
(3)パス後には、球の軌跡は見ないで、到達点の状況の確認を行っている。
特に(1)(3)は目から鱗が落ちました。味方を同僚と考え、スポーツのみならず仕事にも活かせていけたらなと思いました。(編)
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▼ INDEX
■中小製造業の原価管理のポイント <犬飼あゆみ>
■ティータイム 【連休後のトラブル】 <河瀬貴光>
■建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務 <原田裕子>
■中小建設業とIT活用の明るい未来 <山下晶子>
■お問い合わせ先 <メール配信の中止及び設定の変更等>
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◆ 中小製造業の原価管理のポイント
7. 原価企画での目標設定について
前回は原価企画の重要性についてお話しました。繰り返しになりますが、製品の開発設計段階での上手な企画は、製造段階でのコストダウン活動に比べ、10倍もの効果があるとか、「原価の8割は設計(仕様)で決まる」といわれています。今回は、この原価企画の目標設定について、お話していきたいと思います。原価企画というと難しいのですが、コスト削減のブレイク・スルーを狙うことになります。製品企画だけではないですよ、ブレイク・スルーは!
適正な目標原価とは、前にもお話ししました通り、お客様からいただける価値によって決まります。つまり、市場のニーズや競合他社との競争関係などによって決まるため、一概にどれだけコストダウンすることが原価企画の目標だ、とはいえないかもしれません。しかし、あくまでも目安ではありますが、原価企画に真剣に取り組んでいる企業では、「30%コストダウン!」や更には「コスト1/2!」という目標設定のもと、全社的な取組みをしていることが多いのが実情ではないでしょうか。
その根拠としては、30%のコストダウンを狙うのであれば、設計から根本的に発想を変えるということが必要になり、単に製造部門や工場長へ苦労を押しつけたり(押し付けとは思っていないのですが、結果無理強いになっている・・・)、下請メーカーさんなどに無理な値下げを強いたりするだけでは済まないレベルであることに意味があるからです。ただし、もちろん無理な目標設定によって、そもそものコストダウン意欲が上がらないのでは仕方がありませんので、会社の実情にあった目標設定が必要になります(意欲については、またお話する機会があればと思っています)。
大事なことは、この目標をブレークダウンするということです。例えば、30%のコストダウンを狙う場合には、全ての構成要素(以下、簡易的に「部品」といいます)を30%ダウンさせるということではなく、影響度の大きい部品をピックアップし、それらの部品のコストを1/2にするにはどうしたらいいかを考えるということです。このように、2~3割の要因が、7~8割の結果を決めるという、よく言われる法則に基づいて検証していきましょう。そうすることにより、より少ない時間と労力で目標にたどり着くことができます。
更には、コストを1/2にするだけでなく、ゼロにする、つまり本当に必要なものかを再検証し、不要であれば、その部品や機能自体をなくしてしまうということです。原価企画の目標については、コスト面だけでなく、部品点数を何パーセント削減するとか、部品の標準化率(他で使っているものを流用する)を何パーセントにするといった目標設定をしていくと、より具体的になり良いと思います。更に、部門別に、開発設計部門でいくら、購買部門でいくら、製造部門でいくらなど、部門毎の目標設定も必要に応じて行ないます。機能自体をなくすことについては、ちょっと難しい問題ですね。これもまた、別の機会に話をしたいと思います。
コストダウンを管理するため、製品を末端の構成部品まで分解したツリー(構成部品の一覧表)を作成し、コストダウンの対象部品については、その横に目標原価を記入します。原価企画は全社的な取組みが前提になりますから、この目標が記載されたツリーを全関連部門に公表し、ベクトルを合わせることが重要です。これで、晴れて原価企画のキックオフです!
コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
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◆ ティータイム
「連休後のトラブル」
長期連休を取られているかたもおられるかと思いますが、パソコンの調子はいかがでしょうか?長期連休やお正月あけなどはお客様からの連絡は多くなります。ご想像されているかもしれませんが、ほぼトラブル連絡です。今回はトラブルを何件かご紹介させていただきます。
症状1
パソコンの電源を入れたが使えない。マウスの矢印が砂時計のままになって何も出来ない。マウスの矢印は動く。
解決方法について
電話で話を聞き、お客様のところに向かっている途中で携帯電話に連絡がありました。「よくわからないけど使えるようになった。」との連絡。現地でパソコンをチェックすると、特におかしなところもありません。パソコンの電源を入れていなかったので連休中(連休前)のソフトウェア更新が完了しておらず、連休明けにまとめて行なった為時間がかかっていたようです。壊れているわけでもない為、そのまま使用していただきました。
症状2
パソコンの電源をいれると真っ黒い画面のまま動かない。電源の入り切りをしてもらっても画面が変わらない。
解決方法について
現地で画面を確認すると「Remove disks or other media. Press any key torestart.」(表示はパソコンによって変わる場合があります。)フロッピーディスクがパソコンに入ったままでもなく、再度電源を入れ直しても状況は変わりません。パソコンの情報を保存しているハードディスクが壊れてしまっていました。このパソコンはメーカによる修理となりました。データは削除されて戻ってくることとなりました。パソコンには限りませんが長い間使用していな
い機器を使う場合にはトラブルが発生しがちです。長期連休に限らず壊れた場合を場合を想定して準備をしておくことをお勧めします。
長期休暇前に行いたい作業
・マイクロソフトのWindowsUpdate
・ウイルス対策ソフトの更新
・その他、セキュリティ対策の更新など(パソコンメーカの更新やソフトウェアメーカの更新)
日々行なっておきたい作業
・ワープロや表計算ソフトなどのデータバックアップ(CDやUSBメモリなどへのバックアップをお勧めします。)
・インターネットのユーザ名やパスワードの管理(登録情報などは印刷し管理することも必要です。)
・ウイルス対策ソフトの更新(ほとんどのウイルス対策ソフトは自動的に更新されるはずです。)
コンサルティング部門
情報テクノロジーミディエーター 河瀬貴光
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◆ 建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務
「建設業のM&A~企業評価(6)」
前回は資本コストについてお話しました。今回は、DCF法の具体的な計算方法についてみていきましょう。DCF法による株主価値の計算は、おおまかにいうと以下のような手順で行います。
(1) キャッシュフロー算定のベースになる将来の事業計画を作成する。
(2)事業計画をもとに各期のフリー・キャッシュフローを計算する。
(3)キャッシュフローの予測期間以降の価値(ターミナル・バリュー)を計算する。
(4)各期のフリー・キャッシュフローの割引現在価値とターミナル・バリューの割引現在価値を合計して事業価値を計算する。
(5)遊休資産や余裕資金があるときは事業価値に加えて企業価値を計算する。
(6)企業価値から有利子負債額を差し引いて株主価値とする。
少しボリュームがあるので、(1)から(6)までを今回と次回の2回に分けてみていこうと思います。今回は(1)と(2)について考えてみましょう。
(1)将来の事業計画の作成
DCF法による企業の評価を行うためには、まず将来のキャッシュフローを予測しなければなりません。そのために将来の事業計画を作成するのですが、建設業の場合は製造業などと比べて売上や利益の予測が難しい面があるかもしれません。というのも、その多くが個別受注で、案件により契約額が大きいものから比較的少額のものまであり、利益率も個々の案件によりバラツキがあるからです。そうは言っても、あまり考え込んでしまうと前に進みませんから、たとえば土木と建築、公共・民間の別、公共の場合は国・県・市町村のような発注者別に、あるいは対象顧客別など特徴の類似する工事をまとめてしまいます。
そして、その区分ごとに過去の実績を分析し、公共の場合は、発注者の一般競争入札の導入動向もにらみ、市場の成長性や動向、顧客ニーズのトレンド、市場で生き残りが出来るのか(生き残りのポイントは、会社によって違いますが)、などを考慮して将来予測をなるべく正確に行うよう努力します。また、新分野のような新しいマーケットに進出する場合は、市場の魅力度や既存企業(新分野といっても、別の業種で既にやっている会社もあるはずではないでしょうか?)との差別化をチェックし、判断していくことになります。将来予測は通常5年~10年行い、予測した期間の予測損益計算書、予測貸借対照表を作成します。
(2)フリー・キャッシュフローの計算
次に、税引後利息支払前利益から調整計算を行って各期のフリー・キャッシュフローを求めていきます。税引後利息支払前利益を計算する場合は、まず予測損益計算書の各期の経常利益に支払利息を加えて税引前利息支払前利益(EBIT:Earning Before Interest & Tax)を計算し、そこからEBITに対して税金を支払うと仮定した場合(金利がない場合)の税額を差し引いて計算します。
では、なぜフリー・キャッシュフロー算定のベースに税引後利息支払前利益を使うのでしょう。ここで、前々回と前回の内容をちょっと思い出していただきたいと思います。前々回、フリー・キャッシュフローについて、費用や税金を支払い投資をした後に残るお金であり、資金提供者である債権者や株主に自由に分配できるお金とお話ししました。つまり、フリー・キャッシュフローは、債権者への分配である支払利息を含み、かつ税引後のものということです。債権者へのキャッシュフローを含んでいるので、割引率として株主資本コストと負債コストを合成した加重平均資本コスト(WACC)を使います。割引率については前回お話しました。このときの負債コストは金利分の節税効果を考慮したものでしたね。負債コストに金利分の節税効果を織り込んでいるので、フリー・キャッシュフローの段階で差引く税金は、金利がなかったとした場合の税金でなければなりません。
以上のことから、フリー・キャッシュフローの算定のベースの利益は利息支払前で税引後ということになります。前述の方法で税引後利息支払前利益が計算できたら、各期のフリー・キャッシュフローは次のように計算できます。
フリー・キャッシュフロー=税引後利息支払前利益+減価償却費等(A)-設備投資額等(B)-正味運転資本増加額(C)
(A)減価償却費や引当金繰入額など費用であってもキャッシュが出ていかないものを利益に足し戻します。
(B)設備投資額は、費用は発生しなくてもキャッシュが出ていくので、その予測額を差し引きます。
(C)正味運転資本(売上債権+在庫-仕入債務)の増加は、利益計上時期からのキャッシュの獲得のタイミングの遅れなので、その予測額を差し引きます。
今回は、事業計画を作成した期間のフリー・キャッシュフローの計算のところまでをみてきました。次回は、(3)の予測期間以降の価値(ターミナル・バリュー)の算定からみていくことにしましょう。
M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子
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中小建設業とIT活用の明るい未来 5
「実行予算管理の重要性について」
皆様GWはどのようにお過ごしになられましたか?
リフレッシュされた方、家族サービスで疲れた方もいらっしゃると思います。
しかし家族との時間は一番のモチベーション源になるとか、5月も頑張って行きましょう!
前回では、「数値に基づく経営」として、実行予算管理を取り上げ、工事部だけではなく、他部署でも活用することのメリットについて考えました。今回からは、この実行予算管理の重要性について、現場が始まる前の実行予算作成時、施工中の実行予算管理、完工後の3つに分けて考えてみたいと思います。
3つの実行予算管理の場面で共通することとして、実行予算書の重要性があります。
しかし私がお話を伺った会社の中には社内統一した実行予算書がなく、実行予算管理も行なわれていないというケースがありました。
現場責任者の方に「実行予算書がなくては、コストの管理ができず不安ではないですか?」と質問してみると、独自の様式で管理されている方が殆どで、「コスト管理はきちんとしないと怖い」とおっしゃいます。各現場責任者独自の方法で実行予算管理をされているのが現実で、社内統一された管理がなされていないというのが現状ではないでしょうか?
折角の実行予算管理を各自のノウハウだけにせず、会社内で管理方法を統一し、皆で共有することが重要です。その上で現場施工中はもちろん、施工後もコストダウンを図るために、実行予算管理の重要性を再認識して頂きたいと願います。
今回は、現場が始まる前の実行予算作成時について考えてみたいと思います。実行予算作成時のメリットについて以下のことが考えられるのではないでしょうか?
(1)設計図が頭に入り細部まで工事が理解できることや事前に現場へ行ったとき設計図にはないコストアップの要因やまた逆も把握できるのではないのでしょうか。
(2)施工中に頑張ることも大切ですが、事前に考えられるだけのコストダウンを盛り込めます。
(2)については、自分のノウハウ以外にも社内のノウハウ、外注業者のノウハウを利用しコストダウンを図っていますか?また、自社の工種別標準単価(歩掛り)も参考にして実行予算を立てていますか?これらを実現する為には、過去の工事実績データの利用が不可欠です。
過去の実行予算管理データなどをデータベース化し工事担当者がいつでも閲覧できる様にすることにより、実行予算策定の効率化・スピード化も図れるのはもちろん、コストダウンについての情報共有も図れます。データベースというと仰々しく聞こえるかもしれませんが、社内パソコンLANを実現しサーバや共有ハードディスクに過去の実行予算や実績、工種ごとの歩掛りなどのファイルを集めて保存することからでもスタートできますし、効果が高いのではないでしょうか。
もちろん専用の実行予算ソフトを利用してもいいですし、EXCELなどの表計算ソフトでも十分です。使い勝手を重視するのであれば、データベースソフトやグループウェアソフトを利用するのが便利です。
実行予算策定後には、施工検討会を開き、ベテラン現場責任者のチェックや工法・工程の検討を行い、さらなるコストダウンについて検討されることと思います。これらの情報も社内で共有化しコストダウンに利用されればと思います。
次回は、施工中の実行予算管理についてどのように進めていくのか、現場での情報、ノウハウを共有することについて考えたいと思います。
コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子
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■みどり合同経営 Information
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