2007年3月8日号

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         ● みどり合同経営 Information ●
         -コンサルティング・M&A部門-
           2007年3月8日号
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皆様こんにちは、みどり合同経営コンサルティング・M&A部門です。
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鼻のぐずぐず、目のかゆみなど花粉の到来で、今年も春めいてきたなと感じています。卒業、入学、就職、人事異動・・・と新しいスタートの時期でもあります。私自身ふりかえってみると、日々の仕事、家事などに流される日々を過ごしています
が、初心に戻って新鮮な気持ちを持ちたいなと思います。(編)
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▼ INDEX
■中小製造業の原価管理のポイント <犬飼あゆみ>
■建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務 <原田裕子>
■ティータイム 【WindowsVistaのエディション】 <河瀬貴光>
■中小建設業とIT活用の明るい未来【建設IT情報コーナー】 <山下晶子・河瀬貴光>
■お問い合わせ先 <メール配信の中止及び設定の変更等>
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◆ 中小製造業の原価管理のポイント

5. 狭義の原価管理について

前回は原価計算のポイントとして情報開示をすることが重要であること、また具体的な方法としては、「比べる対象がある」ということが重要だとお話しました。この「比べる対象」は初期段階では、前回の作業時との比較でもよいのですが、将来的にはあらかじめ設定された「標準原価」と比較することが大切で、これが狭義の原価管理といわれています。

この「標準原価」の考え方ですが、以前からお話しているように、「理論的にいうと、これくらいでできるだろう!」という原価です。少し難しい言い方では、「標準の操業度において、標準の作業方法に対して、標準の能率(生産性)と標準の原価率(要素価格)を適用して算出される原価」となっています。これは、材料費や部品費、加工費などの原価の積上げから算出されるもので、後に述べる「目標原価」、つまり「この値段で売りたいので、原価はこれくらいにしたい!」というものとは異なります。この、積上げの標準原価は、原価計算課程で把握された過去の実績データなどをもとに、生産計画段階で設定します。

 

そして、狭義の原価管理とは、この標準原価と実際にかかった原価との間に差異があるかを把握し、差異がある場合にはそれを分析し、是正していく活動をいいます。この差異の把握は、以前にお話したように、まずは直接材料費や直接部品費、外注費に焦点を絞ってやっていくことが良いと思います。ポイントは差異を、原因の種類により2つに分けて考えるということです。

 

まず、1つは数量差異で、(実際消費量 – 標準消費量)×標準価格で求めます。

数量差異の発生原因としては、
(1)不良(規格外)材料の使用、
(2)作業方法の変更や能率低下、
(3)そもそもの消費量設定が不適切だった、
などが考えられます。

 

もう1つは価格差異で、(実際価格 – 標準価格)×実際消費量で求めます。
価格差異の発生原因としては、
(1)材料等の市場価格の変動、
(2)仕入部門の不手際、
(3)そもそもの価格設定が不適切だった、
などが考えられます。

 

標準原価と実際原価が乖離している場合には、仕入担当者や水すましを中心に、上記のような差異の発生原因を分析・報告し、工場長などの製造責任者、仕入責任者および経営陣を含め作業方法を是正する、仕入先との交渉をする、もしくは標準原価の見直しをする等の方向性を議論していくことになります。

 

これまで、「狭義の原価管理」と、その前提ともいえる原価計算についてお話してきました。これらは、管理・統制することでロスが少なくなったり、従業員のコスト意識が高まることから、結果としてコスト削減につながりますが、製品のコスト競争力を格段に向上させるというのは難しいのが実情です。次回からは、本メルマガのメインテーマである、コスト競争力を格段に向上させるための原価企画について、考えていきたいと思います。

 

コンサルティング部門
中小企業診断士 犬飼あゆみ
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◆ 建設業のM&A~企業評価、法務、会計、税務
「建設業のM&A~企業評価(4)」

前回までのところでは、中小企業のM&Aの中心的な評価方法である「営業権を含む時価純資産額法」についてお話しました。企業評価の4回目の今回からは、特に大企業のM&Aの実務で広く使われているDCF法についてみていくことにしましょう。

 

DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法は、現代の基本的な企業評価方法といわれています。その前提には、事業の価値は、その事業が将来生みだすキャッシュフローで決まるという考え方があります。キャッシュフローは、企業がその事業から稼ぎだすお金のことです。キャッシュフローこそが事業が生みだす価値であり、キャッシュフローを評価することで、その事業を適切に評価できると考えるわけです。

 

DCF法では、会社が行っている事業が、将来存続する期間にわたって生みだすと予想されるフリー・キャッシュフローを、現在の価値に引き直したものを合計して事業価値を算定します。
フリー・キャッシュフローというのは、費用や税金を支払い、事業を続けるために必要な投資をした後に残るお金のことです。フリー・キャッシュフローがプラスであれば、借入金の返済に充てたり、株主に配当したり、預金として保有したり、新しい事業の元手にすることもできますね。いうならば自由(フリー)に使えるお金なので、フリー・キャッシュフローと呼ばれます。

 

DCF法の計算は、その名前が示すとおり
(1)将来のフリー・キャッシュフローを予測し、
(2)このフリー・キャッシュフローの現在価値への割引計算(ディスカウント)
を行う、という2つの基本的なプロセスをへて行われます。

 

では、予測したフリー・キャッシュフローの割引計算を行うのはなぜでしょう。
それは、現在の100万円は1年後の100万円より、1年後の100万円は2年後の100万円より価値が高いと考えられるからです。100万円を1年間貸したなら金利が稼げます。これを時間の価値と考えます。
また、将来のキャッシュフロー100万円は予測ですからリスクがあります。
遠い将来になればなるほどリスク(不確実性)は高くなりますよね。このように、タイミングの違うキャッシュフローは同じ金額でもその価値が違うので、そのままでは評価できません。将来のキャッシュフローを、時間の価値やリスクを考慮した一定の割引率(割引率については、後日詳しくみていこうと思います)で割り引いて現在価値に直すことで、はじめて比較したり評価したりすることができるようになります。

 

DCF法は、自分が提供した資金を使って高いリターンを上げることを期待する投資家を重視していること、会計上の利益ではなく会計処理方法に影響を受けないキャッシュフローを評価の対象としていること、時間の価値やリスクを考慮していること、などの点から理論的にすぐれた方法といわれています。ですが、一方で、キャッシュフローの予測や割引率の算定において、前提条件を少し変えるだけで評価の結果が大きく違ってきてしまうという難しさがあるのも事実です。

 

今回は、DCF法の評価の考え方についてお話しました。次回から、DCF法の具体的な方法についてもう少し詳しくみていくことにしましょう。

 

M&A・企業組織再編部門
公認会計士 原田裕子
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◆ ティータイム
「WindowsVistaのエディション」

前回はWindowsVistaの紹介をさせていただきました。
今回はVistaの商品構成を紹介させていただきます。
Vistaを導入されようとした方はお気づきかと思いますが、使用方法に合わせて複数のエディションが提供されました。間単にご説明させていただきます。

 

・HomeBasic
スパイウェア対策や詐欺サイト対策などの機能をもち、検索機能を強化した基本的なエディション。

・HomePremium
HomeBasicに加え動画や音楽(音声)などを整理するWindows Media CenterやDVDビデオを作製する機能を追加したエディション。

・Business
検索機能を強化し、企業で必要なドメインログオン機能やデータの暗号化機能を追加したエディション。

・Ultimate
上記エディションの機能をすべて含むエディション。
このほかにUNIXアプリケーションの実行を考慮、多言語対応を標準で備えるEnterpriseがあります。

HomePremium,HomeBasicは個人向けを意識しマルチメディア系の機能が充実しています。Business,Ultimateは企業向けとし、セキュリティ機能などが充実しています。
事務所などで使用する場合にはBusinessを導入することになるかと思います。

【参考】
WindowsVista使用にあたり同じ文字でも形が変わって表示されてしまう場合があることを前回記載させていただきました。マイクロソフトが回避策を公開していますのでご紹介させていただきます。

 

Windows XP および Windows Server 2003 向けJIS2004 対応 MS ゴシック & MS 明朝フォントパッケージについて
http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/jp_font/jis04/default.mspx

 

Windows Vista 向け JIS90 互換 MS ゴシック・明朝フォントパッケージについて
http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/jp_font/jis90/default.mspx

 

これはVistaとWinodwsXPの書体を同等にするもので、VistaをXPにあわせる、もしくはXPをVistaにあわせる、の2つの方法です。VistaをXPと同等にすることはちょっと後ろ向きであるような感じも受けますが、過渡期である現在の状況では仕方がないのかも知れません。

 

コンサルティング部門
コンサルタント 河瀬貴光
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中小建設業とIT活用の明るい未来 4

あっという間に今年も3月、年度末で何かとお忙しいとは思いますが、少しお付き合い下されば幸いです。

 

前回はコスト増加要因を社員全体で情報共有し対策を講じることが大切とちょっと偉そうに書きましたが、今回は「数値に基づく経営」とは具体的にはどのようなことなのかについて考えたいと思います。

 

「数値に基づく経営」と聞くと難しい気がするのですが、多くの会社では、単年度の経営計画は策定されていることと思います。その中で完成工事高や部門ごとの利益額(率)目標などの数値を細かく詰めていくと、最終的には個々の現場単位に行き着きます。

 

現場毎の数値管理手法というと実行予算管理を思い浮かべる方も多いと思います。現場責任者や部門長の方々が実行予算管理を行なう場合が多いかと思うのですが、それ以外の部署ではあまり活用されていないのが現実ではないでしょうか?実行予算管理にて集計された数値をもっともっと活用すべきではないかと感じます。

 

例えば、現場責任者が材料や外注業者への発注の際に自分の経験則だけで発注することが多いと思いますが、発注前に他の現場責任者の過去の数値と比べてみるのもコストダウンに役立つのではないでしょうか?結構これができている会社は少ないような気がします。営業担当者は、見積の実績データとして利用するのはもちろん、値下げの交渉を受ける場合ここまでは黒字受注できるという一つの指標として利用することはできないでしょうか?

 

実行予算管理をどのように進めていくかというと、個々の会社の内情によって違ってくると思います。専用の実行予算管理ソフトを利用するのが一番簡単ですが、EXCELなどの表計算ソフトを使って管理する会社が多いように思います。工種ごとに実行予算入力しその欄の横に、実際に支払が発生した金額を入力し、月1回更新する。このような管理をしている中小建設業の会社は結構多いのではないのでしょうか?

 

また、建設業専用の財務会計ソフトを導入している会社では、工事毎に支払伝票を入力していくと、会計処理と工事台帳作成が同時できるという機能を利用している場合もあります。工種毎の予算対比を行っていく場合、請求書入力を現場別、実行予算の工種別に入力する必要があり、会計担当者に負担が掛かる場合もあります。

何れの方法でも、まずは試してみて、作成した実行予算管理の帳票を活用していきましょう。実績が集計された資料を持ち寄り、検討を重ね、徐々に管理の段階を上げていくことをお勧めします。いきなり高いレベルを求めても、うまくいかない場合が多いように思います。

 

次回は、もう少し実行予算管理の活用について考えてみたいと思います。

 

コンサルティング部門
コンサルタント 山下晶子・河瀬貴光
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