みどり合同経営メールマガジン 2017年4月26日号を発行しました

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◆☆         みどり合同経営 メールマガジン
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◆☆◆☆◆☆                 2017年4月26日号
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皆様こんにちは、みどり合同経営です。

もうすぐ大型連休! 心身ともにリフレッシュして過ごしたいですね。

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▼ INDEX

<好評連載>
■ 事例からみる「中小 B to B 企業のマーケティング」
第5回『Y社の顧客満足による取引促進』

<お問い合わせ>
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好評連載: 事例からみる「中小 B to B 企業のマーケティング」
第5回『Y社の顧客満足による取引促進』

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みなさん、こんにちは。
前回は、金属切削加工を行うY社が既存取引先T社との関係をどういう戦略
基づいて深めていったかを確認してきました。
今回は、Y社の取引先のうち、より「技術的に難易度が高い部品」が求め
られる企業との新しい関係構築について、Y社の狙いを見ていければと
思います。
新たな関係構築の前に、Y社はまず、マーケティングの観点から依存回避を
考えました。リスクヘッジのために、取引の多いT社とは別の業界や市場を
対象とする顧客との取引を増やすことです。同業界、同市場の依頼ばかり
受けていては、その業界や市場が低迷したときに、直に影響を受けてしま
います。
Y社の中で一番取引が多いのは、前回お話した自動車関連大手部品メーカー
のT社です。T社以外との取引を考えるうえで、T社と同じ業界はできる限り
避けたいところでした。
そこで目を向けたのが、医療機器や光学機器といった分野であり、Y社が
自社の一番の強みとして認識している高難易度の切削加工がフルに活用され
る分野です。製品自体も小ロットではあるものの、付加価値の高い製品が
中心で、利益率も高いことが挙げられました。
とはいえ、取引口座のない全くの新規先はハードルが高いため、Y社は以前
から取引口座はあるものの受注実績が少なかったD社(医療機器や光学機器の
最終製品大手メーカー)との取引強化を考えました。取引強化にあたっては、
T社との関係構築と同様に、持っている技術力が高いという強みを生かし、
積極的に試作提案や技術提案を続け、顧客のニーズに応じた製品を提供し、
継続的な関係を築いていきました。
Y社が意識して取り組んだのは、メーカー選定の意思決定者である購買担当者
との関係づくりに加えて、設計担当者との関係を構築していくことです。
D社では、設計担当者は機種ごとに分かれていますので、通常は1つの機種に
採用されても、別の機種への水平展開にはつながりにくいという現状があり
ました。

そこで、試作依頼に対し、社長のほか、実際の試作担当者や検査主任が顧客
(設計)との打合せに訪問し、設計担当者と仲良くなりながら、困り事を
拾いあげ、丁寧にフィードバックしていくという地道な活動を続けました。
特に、若い設計担当者には、切削技術にあまり詳しくなく、そのため安全を
見てオーバースペックに書かれた図面も多々あることがわかり、その場合は
単に図面通りの試作をするのではなく、担当者の意図を汲みつつ、仕様を
簡素化する提案を心がけました。その結果、設計側にとって使いやすい
(意図を汲んだ技術提案がされるなど)と設計者の間で評判になり、途切れ
なく新たな試作の依頼につながるようになりました。さらには、当社の技術
提案により、品質が安定し、その分、コストも抑えられることを、わかりや
すい言葉とデータで示していくことで、購買担当者の理解も得られるように
工夫しました。

このようにしてY社は切削加工メーカーとして、D社の中でのポジションを
確立していきました。そして今では一番のシェアを獲得しています。

この事例でのポイントは、
①既存得意先からの依存回避に有効であり、かつ到達可能なターゲットの選定
②B to Bの取引では、意思決定者が複数となり、その分プロセスが複雑に
なる中で、様々な情報を収集し、相手の立場や状況に寄り添った対応を、
組織として取り組んできたこと、の2点ではないかと思っています。

思わぬ効果もありました。大手メーカーであり、難易度の高い製品を中心と
するF社との取引がそれだけあるということが、「高い技術(提案力)を持つ
Y社」として他メーカーにも知れ渡ることになり、国内のみならず、海外の
メーカーからも新規で声が掛かるようにもなりました。

嬉しい悲鳴でありますが、引き合いが増えたことで、自社のキャパシティを
いかに拡大するかということがY社の当面の課題となっています。
執筆者:宮崎 知世
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/miyazaki/